日本商工会議所は3月30日、3月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は3月14~20日。全国422商工会議所が3887企業にヒアリングした。
3月の全産業合計の業況DIは、マイナス15・8と、前月からプラス1・3ポイントの改善。電子部品や産業用機械、自動車関連の生産が全体をけん引したほか、インバウンドを含む観光需要や都市部を中心とした再開発、設備投資が引き続き堅調に推移した。他方、深刻な人手不足や原材料費・燃料費の上昇、食料品・日用品に対する消費者の低価格志向を指摘する声は依然として多い。中小企業の景況感は、総じて緩やかな回復基調が続いているものの、その動きは力強さを欠いている。
ヒアリングした企業からは、「工場などの設備投資需要が多く、売り上げは改善。生産性向上を図るため、ICTを活用した新しい施工技術の導入を検討している」(一般工事)、「製造業や建設業からの発注が増加し、業績は改善。ベースアップの実施や社内教育の強化により社員の士気・営業力を向上させ、さらなる売り上げ増を図る」(化学製品卸売)、「人手不足の深刻化から、営業時間を短縮せざるを得ず、売り上げは悪化。それでも客の来店が集中する時間帯には、料理の提供が遅れるなど、対応が間に合わないことがある」(飲食)といった声が寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス14・0(3月比プラス1・8ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。個人消費の持ち直しやインバウンドを含めた観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響拡大や、原材料費・燃料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、米国による追加関税措置の影響など世界経済・貿易に対する先行き不透明感を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。
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