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情熱ぴーぷる 第17回女性起業家大賞スタートアップ部門特別賞

遺族の心に寄り添うサービス提供を

株式会社想珠 代表取締役 伊藤 信子(いとう・のぶこ)

株式会社想珠 代表取締役 伊藤 信子(いとう・のぶこ)

遺言、遺品整理の大切さ実感

葬儀司会者として葬儀業界に入って16年、多くの故人さま、喪家さま、お寺さまとのご縁をいただいてまいりました。私が遺品整理や終活講座の企画立案・運営を行う会社を起業したのは、長い間病を患った実父を亡くし、たった一人遺された母の姿に、遺言や遺品整理の重要性を痛感したことがきっかけです。

実父は私が葬儀業界にいることから「葬儀は自宅で、子どもと孫だけで見送ってほしい」と言い残して逝きました。母は、縁起が悪いと父と私の会話に一切入りませんでしたが、父の葬儀を自宅で行い、葬儀会館で盛大に執り行わなかったことが今でも心残りのようです。また、父は母の生活資金のことなども自身で準備していましたが、全て口約束だったために、案の定、兄と遺産相続で3年近く調停となりました。結果は父の遺言通りとなりましたが、兄とは絶縁状態になり、父の法要に声が掛かることはなくなりました。

こうした状況に、母は父の遺品を見ては涙し、下着の1枚すら整理できずにいました。せめて父がエンディングノートに自身の希望を記載していれば、老いた母に悲しい思いをさせることはなかったでしょう。この経験を機に遺品整理士、終活カウンセラーの資格を取得し、女性ならではの視点で遺族の心に寄り添うサービスを提供しようと、創業しました。

遺品は亡き人の生きた証。他者にはたいしたことのない物も、亡き人にとっては大切なものかもしれません。当社はお寺にお願いし、片付け前に必ず玄関での読経・焼香、各部屋での読経を行います。全ての遺品に亡き人の想いがあると考え大切に供養いたします。

高齢社会の問題解決の一助に

遺品整理は、決してきれいな仕事ではありません。社会問題となっているごみ屋敷と化したお宅が多いのが事実です。生きる希望を失い、命を絶ってしまった人のお宅もあります。天井まで積み上げられたごみ袋の山。共に働く22歳の息子と20歳の娘には、逃げ出したくなる現場でしょう。大げさでなく何千匹ものゴキブリと格闘しながら黙々と遺品を片付ける彼らに頭が下がります。高齢化が進み、独居の増加が見込まれる時代、遺品整理業は世の中に必要な仕事です。この事業でごみ屋敷や孤独死の問題を解決できればと思います。

本年度からペット葬儀を始めました。愛するペットを亡くした方がペットロスにならないよう、きちんと弔いを行います。また、終活講座を実施する中で、多くの企業とご縁をいただき、2017年に設立した独居の高齢者、障がい者を支援する市民団体「高齢者支援よりそいの会」をNPO法人化する準備も始めています。

父を亡くしたときあるお寺さまから「泣いてあげるのも御供養だけど笑顔で生きることが一番の御供養ですよ」との言葉をいただきました。いつか私の母も父の遺品を笑顔で整理できる日が来ると信じ、この事業を私の使命と考え、まい進していきたいと思います。

会社データ

社名:株式会社想珠(そうじゅ)

所在地:愛知県安城市城南町1丁目18-21

電話:0566-74-9696

創業:2016年

事業概要:サービス業(遺品整理・生前整理、終活講座企画運営、葬祭業請負など)

HP:http://www.souju2016.com/

※月刊石垣2019年7月号に掲載された記事です。

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