多摩市の北の玄関口「聖蹟(せいせき)桜ヶ丘」駅は、新宿駅から京王線で最速約25分。当市は都心からのアクセスに恵まれ、多摩丘陵の緑豊かな自然と充実した都市機能が融合した東京南西部に位置する人口14万8千人の都市です。『万葉集』で多くの和歌に詠まれた「向(むかひ)ノ岡」は多摩丘陵のことで、「聖蹟」の地名は、明治天皇がウサギ狩りや鮎(あゆ)漁で、当地を訪れたことに由来します。市内の都立桜ヶ丘公園には行幸を記念した「旧多摩聖蹟記念館」があります。また多摩センター地区は、京王線・小田急線・多摩モノレールの3路線が乗り入れ、「サンリオピューロランド」や「多摩センターイルミネーション」は、来訪者の多い人気スポットです。
私は米穀商を営む「和田屋伊野商店」(現在は不動産業)の三代目として当市で生まれ育ちました。質実剛健をモットーに、当所副会頭だった父の思いを継ぎ、ふるさと多摩の発展に貢献できればと、現在、当所会頭を務めています。
さて当所では、魅力あるまちづくり事業として、平成20(2008)年2月に「多摩桜プロジェクト」を立ち上げました。スペースシャトル「エンデバー号」で宇宙飛行士・若田光一さんと共に宇宙を旅した種から発芽した宇宙桜(そらざくら)を、全国から寄贈していただき、桜ヶ丘公園に植樹してまいりました。それらは、岡山県の「醍醐桜」、高知県の「稚木(わかき)の桜」と「ひょうたん桜」、福島県の「三春の滝桜」、岐阜県の「高桑星桜」の5種類の名桜です。さらに同公園で咲いた宇宙桜の種から育てた苗木(いわゆる宇宙桜2世)を、平成31(2019)年3月に東日本大震災の復興支援活動の一つとして、福島県南相馬市へ贈呈し、同市内の小学校の子どもたちと記念植樹を行いました。また市花「ヤマザクラ」の保存と育成にも力を入れ、種から育てた苗木を桜ヶ丘公園に植樹するとともに、市内小中学校に寄贈しています。
平成24(2012)年は、大正元(1912)年に、当時の尾崎行雄東京市長が、日米親善のシンボルとしてワシントンD.C.のポトマック湖畔に桜を寄贈して100周年の年でした。同年4月、ワシントンD.C.で開催された「桜種子寄贈100周年記念式典」には、当所から役員4人が出席し、多摩のヤマザクラの種、5700粒を全米50州に贈呈いたしました。
このように、桜を通じて当市の魅力を全国にまた世界に発信し、50年後、100年後を見据えた特色あるまちづくりに、今後も取り組んでまいります。
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