日本商工会議所は7月28日、新型コロナウイルスに関する要望書「活動再開の基礎的インフラである検査体制の拡充と医療提供体制の安定化に向けて」を取りまとめ、政府に提出した。
わが国は、感染拡大防止と社会経済活動を両立しつつ、正常化を目指すステージへ移行したが、新規感染者数の増加により国民の感染不安が高まっている。活動制約が残る中、各地の中小企業などの事業継続と雇用維持の努力は限界にある。緊急事態宣言で再度の自粛となれば、廃業や倒産の急増が懸念される。こうした事態だけは防がなければならない。
要望では、新たな感染の波が発生しても、再開した活動レベルを落とさずに済むよう、今や社会経済活動維持の基礎的インフラである、感染動向を素早く把握する検査体制の拡充と、新たな感染拡大に対応可能な医療提供体制の数値目標などを盛り込んだアクションプランを早急に示し、国民や事業者が過度に萎縮することなく活動を行える環境整備を政府に強く求めている。
この際、新規感染者の早期発見や重症者の抑制に効果が期待できる「攻めの検査」の実施と、コロナ禍で厳しい状況にある医療機関経営の持続性確保への支援が鍵と指摘した。
あわせて、無症状・軽症の陽性者用宿泊療養施設の確保、保健所の機能強化など、自治体の地域医療体制の安定化に向けた対策への支援拡充を要請した。
このほか、段階的に国際的な人の往来が緩和される中、出入国者への検査体制の強化、陰性証明書の円滑な発給体制の構築、中小企業などがビジネス目的で民間検査を適宜活用できるよう、検査費の軽減なども求めている。
同要望は、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の資料となるなど、政府方針策定に活用されている。
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