多くの命が失われ、多くの人生を一変させてしまった東日本大震災から6年がたちました。昨年には、熊本地震、台風第10号、糸魚川市の火災など多くの災害に見舞われました。改めて、災害でお亡くなりになられた全ての方々に、そして被災された全ての方々にお見舞いを申しあげ、亡くなられた方々に哀悼の意をささげたいと思います。
日本商工会議所の皆さまは、地域経済における人と人のつながりを生かして災害への対応や復興に大いに貢献してこられました。
例えば、大震災で顧客を失った東北の水産加工業が新たな販路を開拓する。この取り組みを仙台を中心とする東北六県の商工会議所の皆さまが、商談会を開催してサポートしていると伺いました。地域の取引関係に詳しい流通業界経験者も参加して、顧客ニーズを踏まえたマッチングを行うことで、成約率は一般的な展示会の3倍以上になりました。ここに行けば仕事につながると大評判。昨年は、5千人を超えるバイヤーや流通関係者が来場したと聞いています。
商工会議所ならではの、こうした取り組みに深く敬意を表するとともに、引き続き、被災地の復興に取り組んでいただくことを期待しております。
政府としても、引き続き『できることは全てやる』という強い決意の下、切れ目のない被災者支援や、住まいとまちの復興、なりわいの再生を進めてまいります。
昨日は、大手企業を中心とした賃上げの集中回答日でありました。昨年に引き続き、企業収益が過去最高水準にある中で、欲を言えばもう少し力強い賃上げを望みたかったところでありますが、多くの企業において4年連続のベアが実現しました。
しかし、本番はこれからであります。雇用の7割を支える中小企業において、大企業との格差が一層縮小するような賃上げができるよう、政府もしっかりと応援してまいります。
昨年末、50年ぶりに下請け代金の支払いに関する通達を見直し、現金払いを原則といたしました。下請法の運用基準を13年ぶりに抜本改定し、金型を無料で保管させるなど、コストの一方的な押し付けが禁止されていることを明確にいたしました。
商工会議所の皆さまの多くは、全国でサプライチェーンの中軸となっています。その皆さまに実践いただくことが、この下請け対策の要諦です。
来月からは雇用保険料率を引き下げ、中小・小規模事業者の負担を軽減するとともに、賃上げに積極的な事業者を税額控除の拡充により後押しします。
今週、労使の間で、時間外労働の上限規制について歴史的な合意が得られました。過労死をなくしていく。その強い決意の下、明日にも政労使三者の提案を行い、今月中に実効性のある『働き方改革実行計画』を取りまとめたいと考えています。
人手不足に悩む中小企業の皆さまにとって、簡単な課題ではないと考えます。しかし、一人一人の事情に応じた多様で柔軟な働き方ができる社会を、皆さまと共につくっていきたいと思います。
日本を取り戻す。こうお約束をし、政権交代を果たしてから4年余り。アベノミクス「三本の矢」の政策を通じ、名目GDPは47兆円、税収は22兆円増え、失われた国民総所得50兆円を取り戻すことができました。
そして、雇用は約170万人拡大し、正規雇用は過去2年で77万人増えました。
それでも、皆さまからはまだまだ景気回復を実感できないという声をお聞きします。アベノミクスの果実が全国津々浦々にしっかりと届いていくように、これからも取り組んでいく考えであります。
地域には、取引や人のつながりの結節点となって地域経済全体を牽引(けんいん)できる企業や産業があります。
例えば、長野県飯田市。地域を挙げて、航空機産業の集積を形成しようとしています。このような取り組みを支援するため、本国会に『地域未来投資促進法案』を提出しています。予算・税制・金融・規制改革などあらゆる政策ツールを動員し、地域経済を牽引する投資を促進してまいります。
中小企業の国内外の販路開拓も支援していきます。私が海外に出張する際には、優れた技術を持ち、海外展開に意欲を持つ中堅・中小企業に多数参加いただいています。
19日にはドイツのハノーバーを訪問し、ロボット、IoTなど革新的技術が一堂に会する展示商談会「CeBIT(セビット)」に出席する予定であります。日本から中小企業50社を始め、総勢約120社の企業が参加します。各社が誇る洗練された技術やノウハウを、世界に発信していただきたいと思います。
中小企業が元気でなければ、日本は元気になりません。 日本商工会議所の皆さまにおかれましては、これからもわが国経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者のリーダーとして、大いにご活躍いただきたいと思います。皆さまと力を合わせながら、アベノミクスのさらなる進展に努めていく考えであります。 (3月16日)
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