平成29年度与党税制改正大綱について
本日決定された平成29年度与党税制改正大綱は、地域経済・中小企業の活力強化を通じて、経済の好循環の実現に寄与する内容が盛り込まれたものとして評価したい。
特に、中小企業の設備投資を促進する税制措置の対象設備の拡大は、サービス産業が8割を占める中小企業の生産性向上に寄与するものとして大いに歓迎する。また、地域未来投資促進税制の創設や研究開発税制の拡充により、第4次産業革命が強力に推進されるとともに、地域経済の中核を担う中小・中堅企業の活性化を通じて、地域経済への波及効果が期待される。
賃上げについては、収益を上げ、賃上げできる環境にある企業は積極的に行うべきであり、所得拡大促進税制の拡充は、そうした中小企業の賃上げの支援につながるものと考える。
中小企業者から要望の強い事業承継税制は一歩前進したが、今後、一層深刻化する経営者の高齢化、後継者難を踏まえれば、事業承継税制の抜本的な見直しが必要である。引き続き、商工会議所として事業承継税制の拡充を要望していく。
配偶者控除・配偶者特別控除の見直しについては、パート労働者の就労時間拡大に一定の効果はあるものの、106万円、130万円の社会保険料の壁は依然として残っている。所得控除から税額控除への変更など、税制・社会保険料の両面から見直していく必要がある。 (12月8日)
TPP協定承認案・関連法案の参院可決・成立について
本日、TPP協定の承認案・関連法案が参院本会議において可決・成立されたことを歓迎する。
自由で公正な貿易とグローバル化の推進は、世界の経済成長にとって必要不可欠なものである。TPP発効に向けての環境は厳しいものがあるが、高いレベルでマルチの経済連携協定であるTPPを、日本が批准したことは大きな意味がある。日本政府におかれては、米国をはじめとする参加各国に対して、TPPの重要性を今一度強力にアピールしていただき、最近の保護主義的な風潮に歯止めをかけるべく尽力いただきたい。われわれ日本の経済界としては、成長戦略の柱であるTPPができるだけ早期に発効することを期待する。(12月9日)
日ロ首脳会談について
今回のプーチン大統領の訪日を機に、日ロ両国の信頼関係の構築がより進展することに期待する。
ロシアは石油・天然ガス産出量で世界有数のエネルギー大国であり、日本にとっても重要な貿易相手国である。両国首脳の真摯な対話を通じて、日ロ両国の関係が一定の前進をみたことを評価したい。
隣国である日本とロシアの経済関係はそのポテンシャルに見合ったものとなっていない。天然資源の豊富なロシアと高い技術を持つ日本は相互補完的な経済関係にあり、相互の信頼が深まれば、将来的にウィン・ウィンの関係を築いていくことができよう。もとより、中小企業によるロシアとのビジネスの拡大には、言語や商習慣の違いも含めたビジネス環境上の様々な困難もあり、今後、両国政府のさらなる支援が必要である。
また、今回の会談で合意した、共同経済活動の具体化に向けた協議の枠組みの設置、査証発給要件の緩和等を通じて、今後ますます経済協力が進展し、近い将来における北方領土問題の解決を含む平和条約締結につながることを期待する。(12月16日)
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