少子高齢化が急速に進む中、若年者を取り巻く雇用環境も変化を遂げている。今回の「挑む」では、町内の小学生を対象に、商業体験の機会を創出する事業を継続実施し、好事例を生み出している商工会議所を紹介する。
苅田商工会議所(福岡県)に事務局を置くまちづくり会社は平成15年から毎年、地元商店街や行政、教育委員会などとともに、小学生に商業体験の場を提供する「キッズ・マーケット」を継続的に実施している。当初、同事業は町内の中学校1校のみの参加であったが、現在は4小学校が参加。あらかじめ、地元商店街のボランティア講師から各小学校の4~5年生に、店舗を運営する一連の流れやポイントを伝授。自分たちで何をどのように販売すれば売れるのかなど、考える力や協調性、やり遂げる力を育んでいる。また、仕入れを地元商店街の店舗から行うことで商店街の活性化につなげ、子どもたちにも商店街をより身近な存在として認識してもらうことも目的としている。
販売当日は、同所職員が児童をサポート。商店街の駐車場に1グループ10人前後で店舗を構え、パンや野菜、文具などを販売し、決算まで全てを行う。子どもたちは、本物のお金を用いて商売をすることで、働いてお金を得ることの大変さや、身近な小売店がいかに工夫し販売しているか、さまざまなことに気が付き、「生きる力」を身に付けていく。
開催日には毎回、オープン前から行列が出来るほどの盛況ぶりで、地元の人たちからは、「商品が売れた時のうれしそうな笑顔がとても印象的」との声が寄せられている。また、子どもたちからも、「商品が完売したときはとてもうれしかった」などと、達成感も味わえる、満足度の高い事業となっている。
同所は、「子どもたちの職業観と勤労観を育みながら、地域に根差した事業として、今後も継続して実施していきたい」と話している。
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