少子高齢化が急速に進む中、若年者を取り巻く雇用環境も変化を遂げている。今回の「挑む」では、小学生とその保護者を対象に、地域に根差したものづくり工場見学を実施し、地域の将来を担う人材育成に取り組んでいる好事例を紹介する。
立川商工会議所(東京都)は平成21年から毎年、市内の小学4~6年生とその保護者を対象に、「夏休み親子工場見学会」を実施している。同事業は、若者の理科離れや、ものづくり離れが顕著化し、職人の後継者不足も深刻な問題となっていることから、ものづくり産業への興味や理解を深めてもらおうと企画されたもの。今までに訪れた企業は、名刺印刷工場、信号機製造工場、バイオ野菜工場などで、毎年見学先企業を変えるなどの工夫も行っている。
見学会は毎回20組の親子を定員としており、今までの参加者は約280人。また、単に工場を見学するだけでなく、毎回「工作体験」も実施している。子どもたちには、ものづくりに携わる人との会話や工作体験を通して、「ものをつくるのは人であり、ものづくりには試行錯誤のプロセスや思いがある」ということを体感してもらっている。
さらに、保護者に対しても、地元のものづくり企業の取り組みや理念、地域住民への環境配慮などを紹介。同事業を通じて市民と企業が相互理解を深め、安心して共存できるまちづくりを目指している。
参加者アンケートでは、「次も参加したい」と回答する子どもがほとんどだ。また、保護者からも、「子どもが工作好きなので、それを仕事とする職人の話をうかがい、現場を見せることができてよかった」との回答があるなど、好評の事業となっている。
同所は、「地域の子どもたちに、ものの成り立ちに興味を持ってもらうことが教育の第一歩と考え、今後も継続して続けていきたい」と話し、今年も8月に、以前好評だった信号機製造工場の見学会を予定している。
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