日本商工会議所の三村明夫会頭は7日、愛知県名古屋市で開催された東海商工会議所連合会会頭会議で「日本の成長戦略と商工会議所に期待される役割」と題して基調講演を行った。三村会頭は、人口減少問題について「現状のまま何もしない場合には、きわめて困難な未来が待ち受けているという危機意識を、政府、地方自治体、国民などの各層で共有してほしい」と訴え、「制度、政策、人々の意識が速やかに変わるならば、未来は変えることができる」との考えを示した。
基調講演で三村会頭は、わが国の経済概況について、20年続いたデフレを脱却しつつあるとの見方を示すとともに、「20年間どっぷりデフレにつかっていたため、デフレ経済の視点になりがちだが、国も企業も供給サイドに目を向けるべき」との考えを示した。特に労働力については、建設業界だけでなく、外食産業や小売業にも、確実に人手不足による悪影響が広がっている点に触れ、注視が必要との考えを表明した。
また、設備投資について、「日本国内に設備投資が回帰する動きが中小企業にも出てきている」と指摘。「このような上昇トレンドを維持できるかが、今後の成長の鍵となる」と強調した。
人口減少社会への対応について三村会頭は、自身が委員長を務める政府の「選択する未来」委員会の議論について説明するとともに、50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することを、政府の目標として明確に掲げた点を評価。「供給サイドから見た労働力不足が表面化・具体化した今こそ、日本が抱える人口急減という中長期的課題を解決していく好機だ。成長軌道を確実なものとした上で、2020年までに人口減少のトレンドを変えることに全力を挙げるべき」と強調した。
商工会議所に期待される役割については、「中立的な立場で多くの関係者をまとめ上げる力が強みだ。各地商工会議所において強いリーダーシップを発揮してほしい」と期待を表明。「自らの強みにあらためて自信を持ち、中小・小規模企業の活力強化や地域の再生に積極果敢に邁進すれば、地域も含めた日本の底力を上げる大きな原動力となる。自ら前に進めるという気概と、自信と明るさを持ち、ともに頑張ろう」と訴えた。
会合は、日商会頭の交代に合わせて実施しているもの。岐阜、愛知、三重の東海3県の48商工会議所から会頭ら約160人が出席した。
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