日本商工会議所は7月31日、7月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は7月13~20日。全国423商工会議所が3740企業にヒアリングした。
7月の全産業合計の業況DIは、マイナス16・7と、前月からマイナス1・3ポイント悪化し、3カ月連続の悪化となった。原材料費、燃料費上昇による負担増や深刻な人手不足の影響により、製造業を中心に広く業況感が悪化した。また、記録的な猛暑に伴い、夏物商材の需要拡大を指摘する声が小売業から聞かれた一方、サービス業からは猛暑や大雨などの天候不順により客足が減少したとの声が聞かれた。消費者の節約志向も根強く、足踏み状況が続いていた中小企業の景況感は、足元で弱い動きが見られる。
ヒアリングした企業からは、「公共工事が少なく、同業他社との受注価格競争が厳しいほか、鉄鋼や木材などの建設資材価格や、人件費・外注費の上昇により、売り上げ・採算ともに悪化」(一般工事)、「小麦粉などの原材料価格や、燃料費の上昇により、収益が圧迫されているほか、個人消費の低迷や、記録的な猛暑の影響などから、受注が減少し、売り上げも悪化」(食料品製造)といった厳しい経営を迫られている声が寄せられた。一方、「宿泊施設や工場・研究施設といった民間工事が多く、売り上げは堅調。従業員のモチベーション向上を図るため、ベースアップや賞与の増額を実施」(電気工事)、「中国を中心とした外需が好調なため、売り上げは改善。さらなる売り上げ増と人手不足の解消を目的に、新規設備投資を計画」(産業用機械製造)といった前向きな意見も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス15・4(7月比プラス1・3ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。消費の持ち直しやインバウンドを含めた夏の観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、燃料費・原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、米国の保護主義的な関税措置に端を発する貿易摩擦の影響を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。
2018年8月11日 会議所ニュース(日本商工会議所) (C)日本商工会議所 無断複製転載を禁じます。
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