日本商工会議所の三村明夫会頭は9日、定例の記者会見で、日本銀行のマイナス金利の導入の効果について、「企業はすでに十分な借り入れが可能であり、量的な緩和を続けることで、さらに資金を借りて設備投資に向けるという環境にはない」とあらためて強調。「狙いや意図するところを日銀として明快に説明してほしい」と要請した。
また、マイナス金利が地域金融機関に与える影響について「中小企業の多くは地方銀行や信用金庫などから借り入れているので、心配は若干ある」と懸念を示した。
為替レートについては、中小企業の30%程度が115円~120円の水準が経営上望ましいとする日商のLOBO付帯調査結果に触れ、「中小企業の多くは120円程度を前提として考えていたのであろうから、思いがけず114円近辺で展開しているのは、少し動揺を与えているのではないか」との考えを示した。
また、安倍晋三首相が検討を指示している「同一労働同一賃金」については、「総論としては、同一労働同一賃金を目指すべきだとは思う」と一定の理解を示した。一方、「これまで長く続いてきた年功序列賃金、終身雇用制度をどう考えるべきかという課題が出てくる」と指摘。「同一労働の定義はどう考えればよいのかが、これから大きな議論になる。法制化は、定義を明確にしなければ難しい」と述べ、これから議論が行われる一億総活躍国民会議などで意見を述べていく考えを示した。
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