日本商工会議所は1月31日、中小企業の地球温暖化対策に関する調査結果を公表した。調査は、昨年9~11月に各地商工会議所を通じて実施し、801社から回答を得た。日商が地球温暖化対策をテーマに全国の会員企業を対象に直接調査を行うのは初めて。
課題は取り組みの理解
地球温暖化対策に取り組んでいる中小企業は617社で、実施率77・0%。実施している取り組みは、「不要な照明の消灯や間引き」が494件で1位。「省エネを考慮した空調・温度管理」(351件)、「高効率証明の導入」(344件)が後に続いている。
取り組みの動機としては、「コストの削減」が438件で最多。次いで、「人類の生存に関わる問題のため」(258件)、「企業の社会的責任への配慮」(257件)となっている。
現状の課題としては、「取り組みの具体的内容・方法の理解」が104件でトップ。その他、「費用捻出が困難」(63件)、「時間の不足」(49件)といった回答が寄せられた。
経産省と連携し提言
現在、経済産業省では、国・企業・個人など全ての主体でカーボンニュートラルに向けた削減貢献に取り組む必要性について検討が行われており、今後は大企業だけでなく、中小企業を巻き込んだ一層の取り組み促進が重要な鍵を握る。しかし、中小企業では人的リソースなど経営資源に限りがあり、取り組み促進に当たっては大企業と異なるアプローチが必要となる。
このため日商では、本調査結果を踏まえ、経済産業省と連携し、政府の地球温暖化対策計画に掲げられた温室効果ガス排出削減やさらなるエネルギー効率改善に向けたアプローチ策の検討を経済産業省と連携して行った。
アプローチ策では、取り組みを実施できていない中小企業への支援策として、政府が省エネに関する説明資料、業種別・企業規模別の具体的事例紹介、省エネ診断などの支援策を商工会議所に提供するとしている。また、省エネへの取り組みが企業のコスト削減につながる仕組みであることや具体的事例の解説、中小企業の実情に即した方法による情報提供を商工会議所が実施することなどを提言している。
さらに、中小企業の取り組みの進展度合いに応じて、優良企業表彰などの商工会議所ネットワークを活用した動機付け、専門人材によるコンサルティングなど、支援策も変えていくことが必要としている。
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