2020年7月22日(水) 会場:東京會舘(3階ローズ)
今年度で3回目の開催となった「日本商工会議所青年部全国会長会議」。この会議は、全国各地の指導的役割をもつ商工会議所青年部(YEG)会長を対象に、地域経済の発展を担うリーダーとしての資質向上と意識の高揚を図るとともに、各地YEGが抱える課題などについて意見交換を行うことで、今後の単会事業がYEG組織の存在意義を深め、連帯を強固なものとし、価値を高めるものになることを目的として開催している。
一部
延期を経て改めて開催
本会議は当初、5月に開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、4月から6月末までの、国などの緊急事態宣言の発令を受け延期となっていた。その後、同宣言の解除を受け、改めて日程を調整し、国の「新しい生活様式」など、感染拡大防止策の徹底を条件に開催にこぎ着けた。
感染拡大防止策を徹底
会場入り口では、受付前で来場者全員がサーモグラフィーと非接触体温計を使って体温をダブルチェックするとともに、アルコール消毒液での手指消毒とマスクの着用を義務付けた上で入場した。座席は前後左右を空けて(ソーシャルディスタンスを保ち)配置した。懇親会は中止し、会場内の換気回数を増やすなど、感染拡大防止策について、留意しながら開催した。
YEGへの期待を込めた三村会頭の講話
本会議は二部制とし、まず初めに日本商工会議所の三村明夫会頭に講話をいただいた。
三村会頭からは、「ウィズコロナやアフターコロナという言葉が叫ばれる中、どのようにすればアフターコロナになるのか、次のステップに進めるのかが分からない。アフターコロナとは、元の状況に戻ることではなくコロナ禍での経験を踏まえた東京一極集中の再考をはじめ、テレワークなどによる東京と地方の関係性の変化が想定される。
現状、世界と比べて日本だけが感染率が低いこと、マクロ経済の先行き不透明感やたび重なる財政出動による赤字財政の結末など、誰も把握できていない現状に対し、多くの企業は中期計画の策定ができないなどの不安要素を抱えている。
一方で、このコロナ禍において学んだこともあるだろう。中小企業の強みはトップと現場の距離が非常に近く、具体的に何が起こっているのかなどの実態を把握しやすく、変化に対する対応力は極めて強いところが挙げられる。
『100年に一度の危機に対応できるのは、君たち若者だ!』
このコロナ禍だけでなく、収束後の日本を支えるべく、活動してもらいたい」と、日本の現状を交えて、YEGに対して期待を込めた講話をいただいた。参加した単会会長は、この不確定な状況の中、とても柔軟にYEGにも寄り添った三村会頭の講話に引き込まれた。
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二部
先進的な活動を紹介
後半の二部では、「非常事態時におけるYEG活動について」としてディスカッションを実施した。
これは、先に行われた日本ネットワーク委員会の事業で、各単会宛てに非常事態時の活動や取り組みについて、ヒアリングを実施したものだ。本年度は、緊急事態宣言などでこれまでの日常が一変し、YEGの事業活動にも大きく影響を及ぼす事態となっているが、その中でも可能な限り活動しているさまざまな単会や県連がある。
特に先進的な活動をしている単会・県連の会長5人にパネリストとして登壇してもらい、その具体的な活動内容や成果を発表いただいた。
5人のパネリストと事業は次のとおり。
東北ブロック青森県連 竹達 大輔 代表理事(県連会長)
「クラウドファンディングによる学生支援」
学生への間接支援(飲食店などの学割への補助など)
関東ブロック 町田YEG 三井 康弘 会長
「商品券」
YEGメンバーに5000円の金券(単会の余剰金)を送付した。設立から間もなく面識も少ないメンバーが多かったが、金券利用によって交流が活性化した。既に第2弾を実施しており、第3弾も実施予定だ。
関東ブロック 神奈川県連 藤沢YEG 入内島 健一郎 会長
「医療支援 藤沢ありがとう弁当プロジェクト」
医療関係者に医師会を通じて210食のお弁当を配布。その他、Tシャツ販売などの差額収益を飲食店に寄付し、販売したTシャツを加盟店に着ていくと特典があるなど、YEGのブランド力向上をプラスした活動を実施。
九州ブロック 長崎県連 諫早YEG 塚原 史人 会長
「勝手に委員会」
コロナ禍においても、できる限りの事業を実施したいとメンバーが手を挙げ、その賛同者がサポートして事業を行う手法をとった。通常の委員会運営を行わず、フレキシブルな形で委員会を組織し事業を構築した。
九州ブロック 宮崎県連 高鍋YEG 冨田 正仁 会長
「地元飲食店を支えよう」
コロナ禍で影響を受けた地元飲食店やホテルを応援するために、感染拡大防止策を実施しながら地域の人々に利用を促進するための例会を実施。
日本YEG・今枝企画委員長のコメント
「各地での取り組みは、コロナ禍による活動休止など誰も経験したことのない状況下でも活発な活動を続けている事例を知る機会となった。また、これらの活動が地域の人々に対する信頼度、認知度を高め、さらには、会員事業所の経済活動をさらに発展させ、地域経済や会員に対する価値を高めることにつながることを伝え、参加した全国の単会会長は、新たな可能性に気付くことができた。
YEGは地域を支える青年経済人の集まりである。事業実施が難しい単会もあるだろうが、日本YEGは可能な限り、事業を実施できるよう計画・運営していく。この活動が少しでも単会の事業運営の参考になればと思っている」
取材・写真撮影:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報委員会
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