日本商工会議所は9月30日、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、「2015年度の所定内賃金の動向」について、全国の中小企業にヒアリグした結果を発表した。
2015年度に「賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)」(全産業)は、59・9%と6月調査より5・8ポイント増加。一方、「引き上げを見送る企業(予定含む)」は、32・7%と6月調査より14・9ポイント増加した。特に小売業では「現時点では未定」から「引き上げは見送る」に転じた企業の割合が多く(「引き上げは見送る企業の割合」が24・8%から44・9%に増加)、先行きへの慎重な姿勢が伺える。
ヒアリングした企業からは、「業況・採算とも改善していることから、従業員に期末賞与を支給する予定」(食料品卸売)、「売り上げが伸び、業況も改善しているため、若手社員を対象にベアを実施する予定」(総合百貨店)など、業績向上により賃上げを行ったとする声が寄せられた一方、「建築資材の仕入価格が高止まり、収益を圧迫しているが、社員のモチベーションを上げるために定期昇給を行う」(建築土木)など経営環境が厳しい中、人材定着のために賃上げを行う企業もあった。
また、賃上げを見送った企業からは「消費が伸びない中、仕入れ価格の上昇が続き、先行きの懸念が増している」(食料品小売)、「原材料費の上昇に加え、個人消費の低迷のため、業績がふるわない」(菓子製造)と先行き不安や業績の悪化を懸念する声が聞かれた。
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