日本商工会議所は7月24日、都内で日本労働組合総連合会(連合)との懇談会を開催した。会合では日商側から「税・社会保障制度改革」「地方創生」「人手不足の現状と生産性の向上」など日本が直面している課題について意見を表明。連合からは、「適正な取引関係」「労働者保護に向けた取り組み」などについての考えが示された。
懇談会には、日商から三村明夫会頭をはじめ、岡谷篤一副会頭(名古屋・会頭)、立石義雄副会頭(京都・会頭)、宮村眞平特別顧問(東京・副会頭)、石井卓爾特別顧問(東京・副会頭)、佐々木隆特別顧問(東京・副会頭)、田中常雅特別顧問(東京・副会頭)、西村貞一中小企業委員長(大阪・副会頭)、渡辺元労働共同委員長(東京・議員)ら幹部16人が出席。連合側からは古賀伸明会長ら幹部15人が出席した。
冒頭あいさつした連合の古賀会長は、「日本がデフレから脱却し、経済の好循環を持続させることが重要」と強調。そのカギを握る中小企業の課題として「人手不足・人材の確保」を挙げ、「企業の持続可能性という観点からも『人への投資』がこれまで以上に重要になる」と述べるとともに、生産性向上が必要との考えを示した。
続いてあいさつした三村会頭は、「デフレからインフレへと日本経済が将来に向けて動き出した『変わり目』である今こそ流れを変える好機」との認識を表明。「供給力を高めるためには、労働力の確保や生産性の向上が必要」と指摘した。また、人口減少について、「早い段階でトレンドを変えるために2020年ごろまでには抜本的な対策を講じる必要がある」と述べた。
意見交換では、岡谷副会頭が、持続可能な社会保障制度の構築の観点から、「社会保障給付の重点化・効率化をこれまで以上に徹底し、加速していく必要がある」との意見を表明。立石副会頭は、地方創生に向けて、農業や観光など、地域資源の活用による地域活性化の重要性について指摘した。宮村特別顧問は、生産性向上について、「ICTの導入といった先行事例の紹介などを通して、日本全体の労働生産性の底上げを図っていくことが必要」との見解を示した。
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