日本商工会議所は9月16日、都内のホテルで塩崎恭久厚生労働大臣との懇談会を開催した。三村明夫会頭は、消費税10%の範囲内での最大限持続可能な社会保障制度の再構築に向けた重点化・効率化の徹底をあらためて強調。「高齢者に偏った社会保障給付を少子化対策に大きく振り向けてほしい」と強く要請した。
懇談会には、日商から三村会頭はじめ、佐藤茂雄副会頭(大阪・会頭)、岡谷篤一副会頭(名古屋・会頭)、竹﨑克彦副会頭(高松・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、宮村眞平特別顧問(東京・副会頭)、石井卓爾特別顧問(東京・副会頭)、田中常雅特別顧問(東京・副会頭)ら11人が出席。厚生労働省からは塩崎大臣はじめ、山本香苗副大臣、永岡桂子副大臣、橋本岳大臣政務官、高階恵美子大臣政務官ら幹部14人が出席し、意見交換を行った。
三村会頭は、日商が6月に全国の中小企業を対象に実施した調査で、全体の半数以上の企業で「人手が不足している」と回答したことや、人手不足の企業が求める人材としては、新卒新人よりも即戦力として現場ですぐに仕事を任せられる一定のキャリアを積んだミドル人材を挙げる企業が最も多かったことを説明。こうした問題を解決するためには、「まずは、女性や高齢者、若者など、多様な人材の活躍を促進し、働き手を増やすことが不可欠」と指摘するとともに、企業の自主的な取り組みを推進していくことが重要との考えを示した。
また、社会保障分野については、「いわゆる団塊の世代が後期高齢者入りする2025年までに、持続可能な社会保障制度の再構築を実現していく必要がある」と指摘。社会保障制度改革推進法に基づく平成29年までの改革工程表に沿って、一段と踏み込んだ改革の断行を求めた。
塩崎大臣は、経済成長のための重要なポイントとして「働き方改革」を挙げ、海外からも日本の労働市場の改革が注目されていると強調。労働生産性の向上について、「厚生労働省の責任において進めていきたい」と意気込みを述べた。また、「国民運動として、健康づくりと予防を進めるとともに、医療・介護分野の生産性向上も推進していく」と述べ、社会保障費の増大に対応するため、今後、官民連携を進めていく意向を示した。
その後、「重点化・効率化を軸とした社会保障改革の徹底」「社会保険料や拠出金負担の軽減」「女性の活躍促進と社会保障の在り方」「多様な人材の活躍推進」「中小企業の人材確保と賃金を巡る動向」などについて意見交換を行った。
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