当社はイノシシを中心とする野生鳥獣の捕獲およびイノシシの生肉と、それを加工したハム・ウインナーなどの製造・販売をしています。現在の八女市内では保健所の許可を得た唯一の獣肉解体処理場です。
イノシシ肉にはどうしても「臭い」「まずい」「固い」という負のイメージが付きまといます。それも田舎に行けば行くほど、拒否感が強い。悪いイメージがあるのは、それがきちんと処理されていない肉だったからです。八女には昔からイノシシをもらう文化があり、そこできちんと処理されていない肉を食べた、あるいはそのことを聞いたせいだと思います。でも、イノシシ肉は本当においしいのです。これを生かさないのはもったいない。何とか悪いイメージを払拭していきたいです。
私自身は市役所からの駆除の依頼があったこともあり、10年ほど前からイノシシなどを獲って地元のイベント・祭りなどで販売してきました。しかし、その場では「おいしい」と食べていただけるものの、その後の商売には全くつながっていかなかった。商社を経由した流通や、ドッグフードでの利用も検討しましたが、いずれもダメ。販路が見つからず一人で悩んでいました。
そんなときに商工会議所から「八女のイノシシを全国に売っていくためのプロジェクトチームをつくるので一緒にやらないか?」と声を掛けてもらいました。ただ「簡単にはいかないだろう」と思っていました。でも、一人では思いつかない販路を提案してもらい、手応えをつかんでいます。例えば都会のシェフに八女のイノシシ肉を使ってもらうなどという発想は私にはできなかった。それに、10日間限定で『八女猪』を福岡と八女で味わえる「八女ジビエウィーク」も定着してきましたし、期間外でもジビエ料理を出す地元店も出てきました。
まだまだ課題はありますが、今後はカレー・ハム・ウインナーなどの加工食品を入り口に、販路をもっと広げていきたいと思っています。
担当者からひと言
ご相談は最寄りの商工会議所までお気軽にどうぞ!
井手口さんは、以前から行政や商工会と協力し販路開拓にチャレンジされていましたが、残念ながらうまくいっていませんでした。そんなとき、全国展開プロジェクトで畑を荒らす有害鳥獣イノシシを地域資源にして有効活用していくことになり、協力をお願いしました。
井手口さんはプロジェクトに欠かすことのできない方ですし、井手口さんを支援することが、八女のためにもなると思っています。具体的には、負のイメージを払拭するためのPR支援、肉を集める仕組みづくり、販売の出口戦略支援などをさせていただきました。
今では、ジビエが正式に八女の地域資源になりました。今後は皮や脂なども活用して、販路をもっと広げてほしいと思います。
最新号を紙面で読める!