基本的考え方(略)
Ⅰ 地域の再生・創生
人口、製造業出荷額、企業数の約5割、農林水産業(GDP)の約8割が地方圏にあり、国内需要(消費)および供給(生産)の基盤である地域経済の再生なくして日本経済の再生はない。人口減少・少子化抑制のためにも、出生率の高い地方圏で、若者や女性が働き、定住できる環境整備が必要。
加えて、大規模災害対応として、大都市圏のバックアップ機能を有する地方圏を構築しておくことが必要。このような地域の再生・創生のためには、「人の交流・定住を促す仕組みづくり」、「しごとづくり」、「まちづくり」の3つの観点から政策を展開することが必要。商工会議所を中心とする経済界が、地元行政や大学、金融機関等と連携して知恵を絞り、自ら資源を見出して地域をどう発展、成長させていくのか、「地域ビジョン」を作成し実行していくことが重要。
1.地方での人の交流・定住を支援する仕組みづくり
人口減少下において地方を維持・発展させていくには、地域内外の人の交流を促進するとともに、地方への移動・定住が重要であり、大都市・地方間を人が移動する機会を増加させる仕組みが必要。
2.地域に人が残る「しごととくらし」づくり
「しごと」があり、経済が活性化ている地域は出生率も高い。地域に人、若者が残り、定着するだけではなく地域外からも人を呼び込むため、地域独自の資源を活かした新な「しごと」づくりと魅力的なライフスタルの創出が不可欠。特に地域の強みである農林水産業や観光資源を有効に活かした「しごと」づくりに取り組み、政府はこれを後押する政策を強化すべき。
(1)若者にとって魅力ある農林水産業づくりの強化
(2)地域内外の交流人口を増やし、新たな「しごと」を生み出す
(3)地域内経済循環の再構築
3.コンパクトでにぎわいのあるまちづくり
都市のスプロール化により、商店街・中心市街地の低迷、コミュニティの衰退に歯止めがかからず、疲弊が進んでいる。最低限必要な都市機能が一定の範囲内に揃い、高齢者のみならず若者や女性など多様な地域住民が快適に生活できるコンパクトで持続性のあるまちづくりが不可欠。
その核となる中心市街地活性化、人々の移動や交流の足となる地域公共交通などの基盤整備の促進が必要。同時に、個々の店舗が魅力ある店舗に進化することが活気あるまちづくりには不可欠。
4.地域再生に資する土地の有効活用に係る制度の抜本的見直し
5.広域連携・地方分権の推進
Ⅱ 女性と高齢者の活躍促進
1.経済成長を維持するための女性・高齢者の活躍促進
労働力人口が減少する中、成長を維持するためには女性や高齢者の労働参加が不可欠。元気な高齢者が意欲を持って働き、女性についても出産・育児によるいわゆるM字カーブ問題を最大限解消することで、2030年時点での労働力人口を6000万人以上確保できる。
政府は、女性や高齢者の就業意欲を高める仕組みや制度づくりを進めるべき。
Ⅲ 結婚・出生率向上に向けた環境整備
1.結婚・出産しやすい環境づくり
結婚・出生率の向上には、待機児童ゼロの早期達成を目指した子育て環境の整備・充実策に加え、婚姻率を引き下げる若者の経済的不安の解消が必要となる。
また、さまざまな教育機会を通じて、結婚観、家庭観を育み、出産適齢期に子どもを産み育てることの大切さを教えるなど、若年からの国民的価値観の醸成も必要である。
2.安心して子供を産み育てられる環境整備
若者の経済的不安定さや子育て費用の大きさ、働きながら子育てする上でのさまざまな障害などが、複数の子どもを持つことを躊躇させている。出生率を少なくとも希望出生率まで引き上げることを目標として取り組むべき。
3.少子化対策の財源に関する考え方
結婚・出産を支援し、安心して子どもを産み育てられる環境整備など少子化対策を拡充するためには、多額の財源が必要となるが、国・地方ともに極めて厳しい財政状況にある。高齢世代に過度に偏った社会保障費などの財政支出のあり方を抜本的に見直すとともに、女性・高齢者の活躍で生み出される新たな財源は、可能な限り少子化対策に資する形で現役世代に還元していくべきである。
地域再生に向けた商工会議所の取り組み強化
地方創生・人口減少対策は、地域全体で取り組む必要があり、住民、行政、産業界をはじめ、さまざまな主体が一体になって地域の未来像を創り上げ、同じ方向を向いてその実現に取り組んでいくことが重要である。
われわれ商工会議所は、地域全体の商工業の総合的な発展と住民の福祉向上を使命とする経済団体であり、地域の中核として、総力を挙げて強いリーダーシップを発揮し地方創生に具体的に取り組んでいく。
1.地域の中核としての活動の更なる展開
2.商工会議所のネットワークを活用した地域内外の連携推進
3.現場に役立つ事業活動支援・情報発信の強化
4.地方創生のために活動する商工会議所への寄付金は全額損金算入に
(10月7日)
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