伝えていきたい日本の技 有馬人形筆

灰吹屋 西田筆店(兵庫県神戸市)

色彩鮮やかな絹糸が巻かれた筆は、縁起物としてだけでなく有馬温泉のお土産としても人気です(撮影:加藤正博)

今月は、筆を立てると小さな人形が顔をのぞかせる、神戸市有馬温泉名産の人形筆をご紹介します。

有馬温泉は、日本三古湯に数えられる歴史ある名湯で、古事記や日本書紀にもその名が記されています。飛鳥時代に孝徳天皇とその妃が有馬温泉に逗留(とうりゅう)して皇子を授かり、地名にちなんで有間皇子と名付けたという逸話があり、これに着想を得て室町時代に人形筆が考案されました。字を書こうと筆をとると筆尻から豆人形が飛び出し、筆を置くと人形が筆軸に隠れるという仕掛けは、子宝授与の縁起物として知られています。絹糸を巻き付けた筆軸の芸術性の高さも評価されており、手仕事で生み出される軸の色柄には、基本となる四つの模様とさまざまな色の組み合わせから無限のバリエーションがあります。

現在では、人形筆を製造しているのは灰吹屋西田筆店だけとなってしまいました。同店では、伝統の技を絶やしてはいけないという強い決意のもと、丁寧な筆づくりを続けています。

お問い合わせ

灰吹屋 西田筆店

TEL:050-7125-1393

HP:http://arimahude.com/

※月刊石垣2019年1月号に掲載された記事です。

この記事をシェアする Twitter でツイート Facebook でシェア

次の記事

伝えていきたい日本の技 土佐宝石珊瑚

前川珊瑚工房

今月は、高知県の特産品である宝石サンゴを用いた、美しいアクセサリーをご紹介します。サンゴは世界各地で古くから愛され、装飾品や魔よけ、お守...

前の記事

伝えていきたい日本の技 大内人形

桑原大内塗大内人形製作所

今月は、山口市の伝統技法である大内塗でつくられた、大内人形をご紹介します。大内塗は、室町時代に現在の山口県で栄華を誇った大内氏が、京から...

関連記事

伝えていきたい日本の技 ボッコ靴

Kボッコ

今月は、東北や北海道で雪上作業靴として履かれてきた天然生ゴム製の長靴「ボッコ靴」をご紹介します。ボッコ靴は、大正の終わりごろから昭和の初...

伝えていきたい日本の技 2M, 38S

吉正織物工場

今月は長浜市で古くから生産されてきた浜ちりめんを用いたアパレルブランドをご紹介します。ちりめんとは、シルクを原材料とした、よりのない経糸(...

伝えていきたい日本の技 カジュッタ

カジュッタ

今月は、グレープフルーツなどの果実をまるごと搾るジューサー、カジュッタをご紹介します。グレープフルーツの皮はそのまま果肉だけを搾り、ヤシ...

月刊「石垣」

20225月号

特集1
〝二刀流〟で逆境に打ち勝つ! 主業務×自社ブランドで販路拡大

特集2
コロナ禍を乗り越えて長続きする会社へ 人材が活性化する職場の仕組みをつくる

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

会議所ニュース

月3回発行される新聞で、日商や全国各地の商工会議所の政策提言や事業活動が満載です。

最新号を紙面で読める!

詳細を見る

無料会員登録

簡単な登録で無料会員限定記事をすぐに読めるようになります。

無料会員登録をする