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大賞は富山の産業観光に決定 平成27年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞

平成27年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞

「広域」「連携」で活力創出 先進9地域を表彰

日本商工会議所はこのほど、平成27年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」に富山商工会議所を選定した。同所の県内商工会議所と連携した産業観光事業と通年型観光への取り組みが評価された。その他の各賞には、広域連携による戦略的な観光プロモーション(長野)、地域住民と一体となったアートイベントの開催(福山)など9商工会議所の取り組みが選定された。表彰式は、13日に静岡県静岡市で開催する「全国商工会議所観光振興大会2015㏌しずおか」で行う。特集では、受賞商工会議所の取り組み概要を紹介する。

大賞

富山(富山県)

「自然」「産業」「文化」を結ぶ「交通」を柱に、県をあげて産業観光を推進

LRTの車両基地見学は大盛況

富山商工会議所は、富山県の一人当たり製造品出荷額が日本海側随一になっている特徴に着目し、平成14年度から、産業観光に取り組んでいる。これまで、立山・黒部アルペンルートをはじめとする「自然」や、世界遺産の五箇山などが主力の観光資源だったが、天候に左右されにくい「産業観光」を加えることで、通年型観光の定着を目指している。

26年には、県内7商工会議所と連携して、「富山県広域産業観光推進委員会」を発足。来県者の多くがビジネスマンとなっている実情を踏まえ、日帰り出張から宿泊型出張にシフトしてもらうための仕組みづくりに取り組んでいる。

27年には、県内の100以上の産業観光施設を網羅した「産業観光図鑑2015」を作成し、3月に開業した北陸新幹線の県内3駅を起点とした産業観光モデル9コースなどを紹介。富山のモノづくり産業を広く周知するきっかけとなり、団体向けの企画旅行商品として、旅行会社からの関心が高まった。

このほかにも同所では、岐阜県の神岡商工会議所と連携したモニターツアーや、市内の路面電車(セントラムライトレール)などの地域交通を活用した観光振興に取り組んでいる。

振興賞

長野(長野県)

善光寺御開帳を契機とした広域観光の推進

707万人が訪れた善光寺御開帳(写真提供:善光寺

長野商工会議所は、国宝・善光寺で数え年7年に一度開催される「御開帳」を地域活性化の起爆剤とするため、平成25年11月に県内外の観光関連団体とともに「善光寺御開帳奉賛会」を発足。27年4月の御開帳に向けて、①周辺観光地への周遊促進、②滞在時間の延長、③周辺観光地との人的連携、を目的に、善光寺を軸にした広域観光連携を展開した。

全国9地域での誘客活動や各地域の情報をSNSなどで情報発信するなど、連携によるプロモーションを強化。また、御開帳開催期間中は、長野市内の観光案内所における共同ガイドや直通バスの運行するなど、善光寺を起点にした周辺地域への観光客の誘導や滞在型観光を推進した。

こうした取り組みにより、27年の参拝客は過去最多の707万人を達成。さらに、県内地域、北陸方面など周辺地域への観光客の流れもが生まれるなどの波及効果があった。今後は、若者層へのPR強化やインバウンドへの対応を進めていくことにしている。

振興賞

福山(広島県)

まちなみと現代アートの融合による観光まちづくり

まちなかのアート作品を楽しむ観光客が増加

古くより国際貿易港として栄え、今でも情緒あふれるまち並みが色濃く残る広島県福山市の鞆の浦。福山商工会議所は、平成24年から毎年9月下旬から地域密着型アートイベント「鞆の浦 de ART」を開催し、海外からの来街者も含めた交流人口の増加に貢献している。 鞆の浦の遺跡や寺院、町屋など、さまざまなスポットでアート作品を展示し、作品の背景にある地域の歴史や伝統産業、文化を紹介。今年4月には、住民が中心となって実行委員会を発足、展示場所の提供や開催期間中の来場者の案内などを住民が対応するようになった。

また、約3週間のイベント期間中、福山市内で栽培されたショウガのジンジャーシロップなど、地産の素材を使用したオリジナルのメニューを地元のカフェで提供。さらに、新たな鞆の浦アイテムとして、参加アーティストがデザインした「鞆の浦手ぬぐい」が、地元の土産品として定着するなど、イベント開催による経済波及効果も生まれている。

観光立“地域” 特別賞

ひたちなか(茨城県)

「タコ日本一」宣言で地域活力を創出

第1回世界タコ焼きグランプリでタコ日本一をアピール

ひたちなか商工会議所は平成22年、加工高日本一のタコを地域資源に、地域活性化プロジェクトをスタートさせた。しかし、東日本大震災後に風評被害の影響を受けたため、24年2月に、市内40団体と連携して、「タコ日本一!魚のおいしいまち推進協議会」を発足。加工ダコをはじめ地魚の魅力を発信する「旬魚万来サロン」の活用や料理講習会などを通じて理解促進に努めた。

24年に開催した「第1回世界タコ焼きグランプリ」では、市内在住の外国人や留学生が母国の味付けをしたオリジナルタコ焼きを競い合い、「タコのまちひたちなか」を広くPR。さらに、「タコ日本一」をアピールする書籍の発行やテーマソングを制作したほか、市と連携して「タコ条例」の制定を検討している。

観光立“地域” 特別賞

児島(岡山県)

地場産業(ジーンズ)で地域を再生・発展

ジーンズ通りとして生まれ変わった商店街

児島商工会議所では、商店主の高齢化や後継者不足などの課題を抱えていた「味野商店街」の再生に向け、「国産ジーンズ発祥の地」という特性を生かし、ジーンズ販売店を積極的に誘致した。また、シャッターの色や道路などを濃い藍色にカラーリングするなど、まち全体がジーンズ一色となるよう演出。現在では26店のジーンズ店がオープンし、関連雑貨店や飲食店などの出店も進んでいる。

その結果、休日の観光客を中心に年間通行量が10万人を超えるまで増加。その1割が外国人観光客であることから、英語表記のマップ作成や、免税店申請の取り組みも進めている。また、大即売市や、芸術祭といった国内外のジーンズファンにアピールするイベントを定期的に開催し、地域の魅力を発信している。

奨励賞(4カ所)

久慈(岩手県)

「あまちゃん」のロケ地として北三陸の魅力発信

海女さんの捕ったウニの試食体験ツアー

久慈商工会議所は、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地となったことをきっかけに、地域住民を巻き込んだロケ地ツーリズムに取り組んでいる。市民の「おもてなし力」向上に力を入れるとともに、地元特産品などの販路開拓のため、百貨店のバイヤーや報道関係者を集めた展示商談会も開いた。

また、ロケ地を巡るモニターツアーの実施や、「あまちゃん」の世界を追体験できる旅行商品の造成に着手。久慈の魅力を満喫してもらう商品づくりを進めている。

熱海(静岡県)

熱海ブランド「A-PLUS」による地域連携事業

首都圏の女性客がターゲット

熱海商工会議所は平成22年から、魅力ある地産商品を「熱海ブランド」として認定する「熱海コレクションA-PLUS事業」を実施している。対象は、「すぐに食べられるもの」に限定。首都圏からの女性客をターゲットに認定商品の販路開拓を積極的にサポートしている。

これまでに認定した90品は、アンテナショップやコンビニ、熱海観光の定番スポットであるMOA美術館でも販売。同美術館とJR熱海駅ビルのリニューアルに合わせて、常設販売場の設置も検討している。

美濃(岐阜県)

自然、ITを活用した新たな地域ブランドの構築

新イベントで集客アップ

国の重要伝統的建造物群保存地区のまち並みや、ユネスコ無形文化遺産の「本美濃紙」などを有する美濃市。美濃商工会議所では、新たな地域資源を活用した観光振興を推進している。

平成24年から実施している「長良川アウトドアフェスティバルin美濃」では、長良川でのカヌー体験やスキューバダイビングなど10~20種目を用意。また、独自の多言語対応情報サイト「美濃アプリ」を開発し、ツイッターと連動したキャンペーンやおみくじイベントなども実施し、好評を博している。

小浜(福井県)

若狭小浜の〝癒し〟グルメと観光情報を発信

新特産品に行列も

小浜商工会議所は、市内の若手事業者を中心に平成24年に結成した地域おこしグループ「KISUMO小浜」を中心に観光振興事業を展開。特産品の開発や観光コンテンツの企画などを手掛けている。

特産品では、「若狭おばま鯖おでん」を開発し、地域の飲食店や宿泊施設で提供。また、都市住民から見た小浜の魅力を整理し、観光資源の掘り起しやIターンマップを作成。小浜ならではの観光商品の造成を進めている。