日本商工会議所は10月15日、梶山弘志経済産業大臣との懇談会を都内で開催。経済産業省の幹部22人と商工会議所関係者12人が懇談した。日商の三村明夫会頭は、国民や事業者がコロナを正しく恐れながら活動を活発化していける環境整備とともに、来年のオリンピック・パラリンピックを両立支援の象徴的なターゲットとして戦略的な準備を求めた。
日商側は、三村会頭はじめ、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、鎌田宏副会頭(仙台・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)らが出席。経産省側は、梶山大臣はじめ、長坂康正副大臣、江島潔副大臣、宗清皇一政務官、佐藤啓政務官、保坂伸資源エネルギー庁長官、糟谷敏秀特許庁長官、前田泰宏中小企業庁長官らが参加した。
三村会頭は、四度にわたる緊急対応策や過去最大規模の経済対策などの迅速かつ手厚い支援策に謝意を示すとともに、足元の景況感や中小企業の現況について説明。「コロナ禍での最大の経済対策は社会経済活動の活性化であり、感染防止に配慮しつつ経済を最大限動かしていく両立支援が最優先課題」と述べ、検査体制の拡充と医療提供体制の安定化への取り組み強化を要望した。また、国や地域における中小企業の重要性を強調し、中小企業の廃業・倒産防止に向けた支援の継続と、デジタル実装や取引適正化、新事業展開などのビジネス変革など、付加価値創出の取り組みへの支援を求めた。
生産性向上に向けては、コロナ禍を絶好の機会として中小企業のデジタル化を進めていく必要性を説いた。中小企業目線で支援できる専門人材の育成と活用促進が急務とし、中小・小規模事業者のバックオフィス効率化や経営強化のための規制改革の推進を要請した。
取引適正化による付加価値向上については、コロナ禍で広がっている中小企業と大企業の格差を改善し、中小企業が新たな付加価値を創出するには、コストをサプライチェーン全体でシェアしていくことが重要と強調。取引価格や知的財産など取引環境の適正化に向けた「パートナーシップ構築宣言」の賛同企業を増やすことに意欲を示した。
梶山大臣は、「菅政権下で、デジタル化の遅れやサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性の克服など、力強い経済成長の実現と中小企業の生産性向上に向けた対応を進める」との考えを示すとともに、「日本の屋台骨である中小企業は依然として厳しい状況にある。事業継続、雇用維持に、あらゆる手段を活用して対応していく」と述べた。
さらに、ポスト・コロナを見据え、①デジタル化、設備投資、海外を含む販路開拓、②経営資源の集約化を通じた規模拡大や事業承継、③大企業と中小企業の共存共栄に向けた取引関係の適正化など、中小企業の足腰強化につながる取り組みを進めると表明した。
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