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多様な人材の活躍を 政府に意見提出 第5次男女共同参画基本計画に対する意見(概要)

日本商工会議所はこのほど、多様な人材の活躍に関し、「第5次男女共同参画基本計画に対する意見」「改正高年齢者雇用安定法に係る基本方針・指針に対する意見」「障害者の雇用の促進などに関する政令案に対する意見」の3点をパブリックコメントとして政府に提出した。

【基本認識】

◯中小企業における人手不足の傾向は継続する見込みであり、人手不足の克服のみならずイノベーション創出に向け、女性をはじめとした「多様な人材の活躍」が期待されている。

◯一方で、昨年5月に改正された女性活躍推進法の内容を知っている中小企業はわずか2割にとどまっている。

◯「男女共同参画社会基本計画」は、官民を挙げて女性活躍を推進していく上で非常に重要な計画であることから、中小企業の経営実態を踏まえた実効性の高い計画にしていく必要がある。

(1)第5次計画策定における基本的な視点と取り組むべき事項など

第4次本基本計画には、「民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合」などの成果(数値)目標が多岐にわたり示されている。第5次基本計画の策定に当たって、こうした成果(数値)目標はあくまで企業の太宗を占め、雇用の7割を担う中小企業の実態を踏まえて設定することが不可欠。

政府は、成果(数値)目標の達成や実現のために、支援策の強化・拡充や規制緩和などを通じて企業の自主的な取り組みを促し、企業活力の向上やイノベーションの創出を図っていくべきであって、規制強化や、厳しいコミットメントの設定など、企業に過度な負担を強いる政策を実施すべきではない。

(2)企業における女性の参画拡大

昨年5月に成立した改正女性活躍推進法の幅広い周知、中小企業に対する支援の強化が求められる。

(3)女性起業家に対する支援

女性の起業に関する顕彰制度などの重要性を盛り込むべき。

(4)多様で柔軟な働き方の実現

企業の実態に基づいた、男性の育児休業取得促進策を検討していくことが不可欠。男性の育児休業取得の義務化など、一律・強制的な措置は実施すべきではない。

育児休業給付に関しては、給付率を引き上げて企業に負担増を強いることのないよう、慎重な検討が不可欠。

また、テレワーク導入支援の拡充や、柔軟な働き方の導入促進を挙げている。

(5)女性の就業継続に向けた人材育成

リカレント教育機会のさらなる拡充に資する取り組みを強化すべき。

(6)ポジティブ・アクションの推進などによる女性の参画拡大

建設業(けんせつ小町)、運輸業(トラガール)ともに女性の入職や定着に向け、女性も働きやすい現場環境の実現や業界の魅力発信に鋭意取り組んでいるが、女性の職域拡大の観点からも、官民を挙げてより積極的に実施していくべき。

(7)非正規雇用労働者の待遇改善、正規雇用労働者への転換の支援・施策の基本的方向

同一労働同一賃金に係る支援の強化とともに、有期契約労働者の「無期転換ルール」の周知、非正規雇用労働者の能力開発に資する施策の強化・拡充の必要性を盛り込むべき。

(8)地域における男女共同参画の推進・基本認識

当所の調査では、8割もの中小企業が女性の活躍を推進していることから、「地方の企業経営者などの理解が足りず女性にとってやりがいが感じられず働きにくい環境である」という基本認識は適当ではない。

(9)待機児童の解消

政府は、「子育て安心プラン」に基づき、女性就業率8割に対応できるよう、約32万人分の保育の受け皿を整備し、今年度末までに待機児童の解消を図ることにしている。保育の受け皿整備は着実に進んでいるが、本年4月時点の待機児童数は前年比で4333人減少したものの、いまだ1万2439人いる状況である。

安心して子供を産み育てられる環境整備のみならず、女性の活躍推進に向け、保育の受け皿のさらなる整備による待機児童の解消や質の確保は喫緊の課題であることから、「子育て安心プラン」に基づく取り組みを着実に推進し、早期に待機児童ゼロを実現すべきである。

また、政府は、2025年に女性の就業率を82%に高めていく目標を掲げているが、目標の達成にはさらなる保育の受け皿確保が必要と考えられ、市町村の第2期子ども・子育て支援事業計画の積み上げでは、24年度末までにさらに10万人超分の受け皿整備が必要であるとの結果が厚生労働省から示された。女性の活躍推進に向け、待機児童解消に向けた取り組みは着実に進めていく必要があるが、その財源に関しては、事業主拠出金など企業にさらなる負担を求めるのではなく、社会全体で子育てを支えていく観点から、税による恒久財源で賄うべきである。