改正高年齢者雇用安定法に係る基本方針・指針に対する意見(概要)

【基本認識】

◯中小企業における人手不足の傾向は、今後も続く可能性が高い。そのような中、「改正高年齢者雇用安定法」が来年4月に施行され、非雇用の措置を含む65歳から70歳までの「高年齢者就業確保措置」が企業の努力義務となる。

〇中小企業は深刻な人手不足も相まって、高年齢者の雇用に関して比較的積極的であるものの、解雇規制が厳しく、働き方改革や同一労働同一賃金にも対応しなければならない中で、70歳までの就業確保措置が努力義務となることは負担となる。

〇「改正高年齢者雇用安定法」は、中小企業の実態に即して運用していく必要がある。

(1)高年齢者就業確保措置の実施および運用に関する指針の周知徹底について

同法は来年4月に施行されるにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による混乱もあり、認知が十分に進んでいない状況である。

従って、厚生労働省は施行に向け、改正法や基本方針および指針などの内容を幅広く丁寧に周知していく必要がある。周知に当たっては、「高年齢者就業確保措置」の導入に際して、労使協議や就業規則の規定類の改定など準備が多岐にわたることから、必要な取り組みをフローチャートにまとめることや、法令用語や専門用語はなるべく使わず平易な表現を用いるなど、中小企業にとって分かりやすいパンフレット類を作成していただきたい。

(2)継続雇用される高年齢者の待遇の確保

「高年齢者就業確保措置」について「70歳までの継続雇用制度の導入」など雇用に関する措置を導入する企業が多いと思われる一方で、同一労働同一賃金への対応や理解は順調に進んでいるとは言い難い。厚生労働省は、働き方改革推進支援センターによるきめ細かい相談対応など、中小企業が同一労働同一賃金に円滑に対応していくための支援をより一層強化していくべき。

高年齢雇用継続給付が2025年4月から、賃金の原則15%から10%に縮小されることについては、各経済団体とも連携の上、事業主を含めた周知を十分な時間的余裕を持って行われたい。給付率の縮小後の激変緩和措置に関しては、支給率や支給期間などの面で、中小企業に対する配慮をお願いしたい。

(3)高年齢者の再就職の促進のための施策の基本となるべき事項

今般の法改正に伴い多数離職届の様式が改正されるが、規制改革実施計画(7月17日閣議決定)などにのっとり、押印を不要とすべき。また、ハローワークへのオンライン提出が可能である旨は幅広く周知すべき。

(4)その他高年齢者の就業の安定を図るための施策の基本となるべき事項

「コロナショック」では、特に小売業やサービス業での影響が深刻である。今後も人手不足の状況は続くと思われることから、雇用吸収力のある産業への失業なき労働移動を円滑に進めていくことが重要。厚生労働省は、労働者が高齢期においても急激な経済社会の変化に的確かつ柔軟に対応できるよう、公共職業訓練・求職者支援訓練などをはじめとした人材能力開発に資する取り組み、ハローワークや産業雇用安定センターによるマッチング支援をさらに強化拡充されたい。

また、柔軟な働き方の導入促進、中小企業における安全衛生対策の推進を挙げる。

(5)対象者基準

働き方改革関連法への対応をはじめ、雇用・労働分野での負担増が重なっていることや、「(高年齢者)本人の体力的な面や疾病などの面で難しい」という高年齢者特有の課題を踏まえると、「対象者基準」を設定できる旨は適切に周知していくべきである。「対象者基準」を設定する際の参考に、厚生労働省は、基準の設定に関する具体的な考え方や事例を示していただきたい。

指針(案)には、「対象者基準を設ける際には過半数労働組合などの同意を得ることが望ましい」とされているが、今般の努力義務の段階では妥当な内容である。しかし、将来の義務化も見据えると、「対象者基準」に関しては、事業主が過半数労働組合などの意見を聴取し、配慮した上で設定することができる、ということを明確にしておくことが望ましい。

(6)その他留意事項

中小企業における安全衛生対策の推進(再掲)

(7)65歳以上継続雇用制度

高年齢者特有の課題を踏まえると、就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当する場合には、継続雇用しないことができる旨を適切に周知していくべきである。

(8)創業支援等措置

高年齢者は当該企業における長いキャリアの中でさまざまな業務に従事している。現状の指針(案)の趣旨は理解するものの、記載によれば雇用時における多くの業務が創業支援等措置の対象外となる恐れがある。創業支援等措置が適正に利用され、実効性を確保するためには、「働き方」という記載を「勤務時間や頻度、求められる職務遂行能力や責任の程度」とするなど、より詳細に規定すべきである。業務内容が雇用時と同様であることだけをもって、創業支援等措置として不適切ということではない旨を、分かりやすく周知すべきである。

成果物の受領に際しては、正当な理由があれば、やり直しの要求や受領拒否ができる旨を明確にすべき。

(9)賃金・人事処遇制度の見直し

同一労働同一賃金に係る支援の強化(再掲)