日本商工会議所の三村明夫会頭は5月27日、定例の記者会見で、消費税の複数税率に関する与党協議が開始されたことに対し、「複数税率の導入は反対」と改めて表明した。反対の理由として、複数税率を導入した場合、消費税の減収が発生し、社会保障財源が不足すること、複数税率の対象となる商品の線引きが難しいこと、税率の区分けなど、中小企業の事務負担が増加することなどを挙げ、「商工会議所のスタンスは一切変わらない。今後も粘り強く訴えていきたい」と述べた。
また、2030年のエネルギーミックスについて、経済産業省の案(原発比率20~22%、再生可能エネルギー22~24%)が示されたことに対して、「素案が公表され、原子力が重要なベースロード電源として一定の比率を得たことは、大きな前進」と評価した。他方、再生可能エネルギーについては、固定価格買取制度(FIT)の早期見直しを強調。送電網の整備、バックアップ用調整電源の確保などによる新たな国民負担の発生に懸念を表明した。
さらに景気認識について、「小都市の中小企業の景況感は、改善はしているものの、そのスピードが遅い。地方の規模の小さな都市ほど景気回復が実感されていない」と指摘。輸出によって受ける量的な恩恵を、中小企業、地方都市の企業に、いかに再配分するかが課題との認識を示すとともに、賃上げには取引価格の適正化の徹底が必要と述べた。
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