株式会社ブランド総合研究所が10月14日に発表した第15回「地域ブランド調査2020」によると、都道府県の魅力度ランキングでは北海道が12年連続1位となった。市区町村は、京都市が3年ぶりに1位に返り咲いた。同調査は、2006年から始まり、今回で15回目。国内1000市区町村および47都道府県を対象として、3万人を超える全国の消費者に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目を調査し取りまとめた。特集では、調査の概要を紹介する。
要旨
〇全国で最も魅力的な都道府県は、12年連続で北海道となり、市区町村は、京都市が51・9点で3年ぶり3度目の1位となった。2位には前年1位の函館市と同2位の札幌市が同点で並んだ。近年の傾向として、都道府県、市区町村の魅力度が全体的に上昇しているが、特に市区町村では20代をはじめとする若年層の魅力度が大幅に上昇していることが要因となっている。(図1・2)
〇昨今の新型コロナウイルス流行に伴う消費者意識の変化について、前年の結果と比較したところ、魅力度をはじめ、居住意欲、観光意欲といった行動意向に関する項目の平均値には大きな変化はなかった。
〇しかし、個別で見ると東京都で魅力度をはじめとした各項目の点数が大幅に低下しているなど、一部で影響しているとみられる結果も出ている。
地域を〝魅力的〟と評価する属性が高年齢層から若年層へ変化
〇県・市の魅力度について過去10年の平均推移を見ると、2016年以降共に上昇傾向にある。特に市区町村の平均点は16年以降、継続して上昇している。
〇そこで、過去10年の比較が可能な20代から60代までの年代別結果を見ると、2010年で最も点数が高かったのは60代で9・6点だった。高年齢層の回答者ほど、各地域に対して〝魅力的〟と回答する傾向があり、最も平均点が低かったのは20代で5・5点にとどまっていた。(図3)
〇一方、2020年で最も点数が高くなったのは、20代の10・9点。10年と比較すると5・4ポイント上昇している。次いで30代が9・8点。同じく10年より4・2ポイント上昇している。
〇10年と20年を比較すると、60代を除き全ての年代で魅力度の平均点が上昇した。特に20・30代の上昇が大きく、20年では若年層ほど各地域に対し〝魅力的〟と回答する傾向に変化している。(図4)
〇なお、認知度でも20代の平均点が16年以降、上昇傾向にあり、20年は23・6点で60代(23・5点)と同水準となっている。
情報接触経路以外に主要項目で大きな変化なく
〇都道府県、市区町村の各調査項目の平均点を前年度と比較すると、変化があったのは調査項目「情報接触経路」のうち「事件やニュース」で平均割合が大きく上昇した。特に都道府県平均は15・9%から21・9%と6・0ポイント上昇している。
〇他方、魅力度をはじめとする主要な調査項目の平均点は前年からほぼ横ばい、また項目によっては若干上昇している。全体的には接触した情報に変化はあったが、各地域への居住意欲、観光意欲といった行動意欲に大きな変化はないという結果となっている。(図5)
東京都への各行動意欲が大幅に低下
〇東京都は魅力度で前年3位から4位に順位を落とした。点数は前年の43・8点から36・4点に7・4ポイント低下。低下幅は47都道府県で最大となった。
〇観光意欲度は47・4点(4位)から、43・0点(7位)に4・4ポイント低下。
〇居住意欲度は26・3点(1位)から20・5点(2位)に5・8ポイント低下しており、それぞれ47都道府県で最も点数が低下するという結果となっている。
〇東京都内の市区町村結果について、調査対象地域となっている東京都区部(以下「23区」)と都下の27市町村(以下「都下」)に分け、各項目の平均値を比較したところ、23区の魅力度平均は前年から1・1ポイント低下したが、都下は逆に0・3ポイント上昇している。
〇次に居住意欲度、観光意欲度を見ると、都下平均はそれぞれ前年とほぼ横ばいで推移しているのに対して、23区平均の居住意欲度は前年よりも1・0ポイント、観光意欲度は1・3ポイント低下した。
前年から魅力度を最も上げたのは長野県
〇前年から魅力度が最も上昇した都道府県は長野県で、前年の24・8点(10位)から30・5点(8位)と5・7ポイント上昇。前年と比較して20代、60代の回答者の点数が上昇している。続いて石川県が3・8ポイント、沖縄県・茨城県が共に3・7ポイント上昇している。
〇市区町村では糸満市が、前年の11・1点(264位)から17・0点(143位)と5・9ポイント上昇。稚内市の4・9ポイント、柳川市の4・0ポイント上昇が続いている。(図6)
最新号を紙面で読める!