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情熱ぴーぷる 第19回女性起業家大賞・最優秀賞

「学びのセーフティーネット」として高等専修学校を設立

学校法人 星生(ほっしょう)学園「佐賀星生学園」 理事長・校長 加藤 雅世子(かとう・かよこ)

学校法人 星生(ほっしょう)学園「佐賀星生学園」 理事長・校長 加藤 雅世子(かとう・かよこ)

不登校の子どもに寄り添う

専門学校で働きながら大学院で教育心理学を学び、臨床心理士の資格を取得した私は、2007年から佐賀県のスクールカウンセラーとして小・中学校に勤務しました。不登校や発達障がいなど、修学に困難を抱えた生徒たちは、中学校卒業後の進路の選択肢が限られており、専門性を持った支援が可能な進学先が存在しないという現実を目の当たりにしました。このとき、義務教育以降の支援の必要性を切実に感じた経験から、その解決のために不登校・発達障がい者を対象とする高等専修学校の設立を決意。周囲の皆さまからの協力を得て11年に、学びのセーフティーネットとして「佐賀星生学園」を設立しました。

現在、本学園では、県全域から集まった生徒たちが学んでいます。設立当初から最も大切にしていることは、一人ひとりに寄り添う教育です。開校以来、生徒それぞれの悩みに向き合いながら、個性を尊重して自分自身を好きになり、なりたい自分をイメージできるようなサポートができる環境づくりに注力してきました。こうした努力の表れとして、生徒の充実感が向上し、学校が楽しく安全・安心な場所だという位置付けとなり、入学希望者が年々増えています。設立当初は1学年35人で始まった生徒も、20年度は全体で145人となりました。

教育で育むユニバーサルな精神

「垣根のない教育がユニバーサルな精神を育む」という教育理念を掲げ、社会で大切な対人関係を学ぶソーシャルスキルトレーニングや、生活設計力の向上を目標としたカリキュラムをつくり、一人ひとりが自分のペースで目標に向かえる環境づくりに努めています。

その一環として、高齢者福祉施設慰問や幼稚園ボランティア、企業インターンシップなど、地域と関わる活動や、11種の検定試験への取り組みを通じ、社会で必要な生活スキルの習得を目指しています。75の総修得単位数と、高等学校卒業者と同等以上の学力があるとの観点から、文部科学省から「大学入学資格付与指定校」として認可を受けました。さらに、学費を年間50万円に設定し、どの家庭でも手の届く平等な教育機会を保ち、教育の質を維持し続けています

また、サポートする側である職員のモチベーションを高めるために、職員間のコミュニケーションを重視した協力体制を整えています。事務業務の効率化によって、子どもたちや保護者との時間を多く設ける工夫を凝らしているのもそのひとつです。心理学に起因する解決志向アプローチを用いた教育プログラムを開発しているのも本学園の特徴で、これが、県内外の教育関係者のみならず、医療関係者などからも高い評価をいただいていると感じています。

今後は、不登校や発達障がいを抱えている小・中学生の学びの場として「フリースクール」の開設を計画中です。保護者の皆さんへの支援も行いながら、子どもたちが自分の強みを見つけて意欲が高まる学習事業に取り組み、どんなときも子どもたちの伴走者として、未来の社会経済を支える人材を一人でも多く育てていきたいと考えています。

会社データ

社名:学校法人 星生学園 佐賀星生学園

所在地:佐賀県佐賀市多布施4-3-62

電話:0952-97-8941

創業:2011年

事業概要:高等専修学校(大学入学資格付与指定校)の運営

HP:https://www.hossho.ed.jp/

※月刊石垣2020年12月号に掲載された記事です。

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