静岡商工会議所は1月28日、2020年10月1~23日に実施した「事業承継実態調査」の結果を公表した。同調査は中小・小規模事業者の事業承継の実態を把握し支援するための基礎資料とする目的で実施。任意抽出した会員3000社へ郵送によるアンケートを行い、1154社から回答を得た。 調査の結果、「事業承継の意向」については「承継希望・後継者あり」が39・7%と最も多く、「現状維持」が25・8%、「廃業予定」が20・7%だった。「承継希望・後継者未定」は13・8%だった。
「現状維持」の割合は18年の前回調査(35・1%)より9・3㌽減、一方廃業予定(同12・1%)は8・6㌽増えた。その理由は「当初より自分の代で廃業しようと決めていた」「事業に将来性がない」「後継者が見つからない」などが多かった。
「承継希望・後継者あり」との回答では後継者(候補)は「子」が最も多く(69・6%)、次いで「自社役員・従業員(親族外)」(12・8%)だった。後継者は親族の割合が依然高いが、前回と比べると「自社役員・従業員」「社外から登用」がそれぞれ1・3㌽、2・7㌽増えている。
事業承継を進めるために「必要だと思うこと」「取り組んでいること」は共に「取引先との関係維持」がトップ。事業承継に「具体的に取り組んでいる」企業は47・2%だったが、「近々取り組む」「何も取り組んでいない」「取り組み方が分からない」を合わせると51・5%が調査時点で取り組みに着手していなかった。
同所は、廃業予定の増加はコロナ禍による事業継続マインドの低下が理由とみて今後の廃業増加を懸念。事業承継の取り組みの遅れも課題となった。今後は、同所が国の委託を受けて運営する静岡県事業引継ぎ支援センター(来年度より主に親族内承継を支援する静岡県事業承継ネットワークを統合し、事業承継・引継ぎ支援センターに改名)を通じて事業承継の啓発を行う。
また静岡県事業引継ぎ支援センターは2月25日にM&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」と連携。県内14金融機関の協力も得て企業にM&Aの選択肢を提供するなど、「オール静岡」で事業承継を支援する。
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