日本商工会議所は3月18日、第132回通常会員総会をオンライン形式で開催し、全国387商工会議所から会頭・副会頭ら約800人が出席。総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は、新型コロナウイルスに明け暮れた1年を振り返り、「コロナに苦しめられていただけではなく、そこから多くのことを学んだ」と述べ、「国民全体で克服すべき課題を共有した今こそ、デジタル活用による行政やビジネス変革、地方分散化などへの取り組みを加速させていく好機。新しい日本へと向けて船出する、スタートの年と前向きに位置付け、官民が力を合わせて、持続可能で強い豊かな社会を実現していく第一歩を踏み出そう」と呼び掛けた。
三村会頭は、新型コロナウイルスが発生してから1年以上が経過する中、事業継続と雇用維持に必死に取り組んでいる事業者が倒産・廃業に至らないよう、商工会議所は再度、緊急要望を政府に提出すると説明。「各種支援策の継続・拡充とともに、ワクチン接種や医療提供体制の充実を図ることで、経済活動についても徐々に正常化させていけるという明るい見通しを示してほしい」と注文を付けた。
アフターコロナに向け、国の果たすべき役割については、①コロナを制御し、先行きの見通しを国民に示すこと②国全体としての潜在成長率の底上げ③不安定さを増す世界における日本の国益の追求を要望。商工会議所の果たすべき役割については、中小・小規模事業者の生産性向上や地方創生への挑戦を後押しするため、①デジタル化による経営改善、事業成長の加速②経営資源の集約や取引適正化による付加価値向上③地方分散型社会・地方創生の推進を挙げた。
東日本大震災に関しては、10年が経過し、復興を支えるインフラ整備は着実に進んできているが、根強く残る風評被害や海外の食品輸入規制など、課題はいまだ多く残されている。商工会議所としては、今後も震災復興支援に積極的に取り組む覚悟であり、政府に対しても提言書を手交し、今後10年を見据えた復興の強力な推進を求めたことを報告。「今夏のオリンピック・パラリンピックは、わが国が震災を克服し、コロナと懸命に戦っていることを世界に示す絶好の機会。政府におかれては、適切な形で開催できるよう、万全の準備を進めてほしい」と述べた。
続いて、菅義偉内閣総理大臣および梶山弘志経済産業大臣から、ビデオメッセージで祝辞が述べられた。
その後、経営改善普及事業発足60周年記念表彰では、経済産業大臣表彰と中小企業庁長官表彰、日本商工会議所会頭表彰が行われた。日本商工会議所表彰では、特別功労者、役員・議員、職員のほか、組織強化や事業活動で成果を上げた商工会議所をたたえた。
議事では、2021年度事業報告案および同収支予算案などが異議なく承認された。
議事終了後、京都大学高等研究院副院長・特別教授医学研究科がん免疫総合研究センター長の本庶佑氏による「がん免疫治療の未来」と題した講演が行われた。