日本商工会議所の三村明夫会頭は2日、定例の記者会見に臨み、最低賃金について、「今年度については、現下の厳しい状況を踏まえて引き上げしないように強く要請したい」との考えを改めて表明した。
三村会頭は、「賃金の問題は、支払われる側の事情に議論がフォーカスしがちだが、経済環境や支払い能力などの企業側の事情も十分考慮してほしい」との考えを表明。現在の景気情勢について、「K字型の回復といわれるように、中小企業の業況は二極化しており、特に、飲食・宿泊などのサービス業、建設業などは極めて厳しい状況に置かれている」と述べ、「業況の良いところも悪いところも一律かつ強制的に、罰則付きで最低賃金を引き上げれば、結果として、弱い立場の労働者をさらに追い込むことにつながりかねない」と危機感を表明した。
政府の進めている新型コロナウイルスワクチンの職域接種については、「企業、商工会議所として協力することは当たり前のことだと思う」とした上で、医師の問診や、接種の担い手も自治体と競合する可能性がある点に触れ、「商工会議所としても最大限協力したいが、われわれだけで対応できる話ではなく、自治体と相談しなくてはならない」と述べ、医療資源確保に課題があることを指摘した。
産業医や企業内診療所・病院などを自社で所有する規模の大きな企業については、「関連会社や系列会社なども含めて接種をお願いできればありがたい」と述べ、医療資源の活用に期待を表明。「国や自治体が全面的にサポートする体制が整えば協力できる企業は相当程度あるのではないか」との考えを示した。
また、東京2020大会の開催に向けた所見を問われた三村会頭は、「大会を開催することで、明るい見通しを国民全体に与えてくれる」との考えを表明。「何とかできるかたちで、是非とも開催していただきたいという意見に変わりはない」と述べた。
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