女性の悩みを解決するためニッチな美容市場での商品開発に注力
株式会社lojus 代表取締役 田中 麻里奈(たなか・まりな)
誠心誠意、迅速な対応を心掛けた事業展開
23歳当時、IT企業に勤務していた私にはお金も時間もありませんでした。そんなときに恋人が余命1年と宣告され、支えることも一緒にいる時間もなかなかつくることができず、このままでは家族・友人・恋人など、大切な人を大切にすることができないと気付きました。そこで、お金と時間をつくることのできる働く場所が必要だと思ったのが起業のきっかけです。
社名の「lojus(ロフス)」は「love&justice(仁義)&speed(スピード)」を意味する造語で、愛を持って、「仁義」と「スピード」を重んじ、仕事に向き合うことがモットーです。「嘘(うそ)偽りなく、誠心誠意仕事と向き合い、信用と信頼を得られるよう努めること」、また、良い仕事をしても時間がかかり過ぎるようではビジネスチャンスを逃してしまうため、「どの企業よりも迅速に対応すること」を念頭に事業を進めています。
実は、起業2年目に6千万円という多額の詐欺被害に遭いました。当時は現金がないため、お客さまから先にお支払いいただいたお金で代金を支払いましたが、商品が納品されなかったのです。お客さまには銀行から借り入れをして返金したものの、多大なご迷惑をお掛けしました。このとき、取引先の皆さまが仕事につながりそうなお客さまを多数紹介してくださったため、ピンチを脱することができました。モットーであるlojusを重んじていたおかげだったのではないかと、自負しています。今となってはこの事件によりlojusの基盤ができたと言っても過言ではありません。
デリケートゾーン製品に着目
2015年の創業時は卸事業を営んでおり、海外の人たちの爆買いの影響で一期目から売り上げ5億円と順調にスタートしました。ただ、インバウンドの衰退危機を感じたため2年目からは自社製品の開発にシフト。当時日本では珍しかったデリケートゾーン製品に注目していた私は、ビジネス交流会で名刺交換をした化粧品工場に製造依頼し、自社ブランドMAPUTI(マプティ)の開発が実現しました。この商品が中国で人気を博し、製造が間に合わないという事態に直面。スピーディーに対応できる中国のビジネスパートナーを得たのがこの頃です。
マプティは、タガログ語で「白」を意味し、女性のディープな悩みを黒としたときに、そんな悩みを白くしたい、解決したいという思いを込めたブランドです。現在は、世界13カ国で展開しており、日本でも徐々に広がりを見せています。しかし、美容先進国であるはずの日本国内では後進的な「デリケートゾーンケア」というニッチな市場を主戦場としているため、女性として特別ケアすべきところの啓蒙活動も踏まえて認知度を上げながら、女性の悩みを解決できる商品をどんどんつくっていければと考えています。
会社データ
社名:株式会社lojus
所在地:東京都渋谷区富ヶ谷1-14-12 富ヶ谷APARTMENTS ♯103
電話:03-6876-0781
創業:2015年
事業概要:美容商品を中心とした、製造・卸・小売り
※月刊石垣2021年6月号に掲載された記事です。
最新号を紙面で読める!