会頭コメント 会議所ニュース2021年7月1日号

「骨太の方針2021」、「成長戦略実行計画」の閣議決定について

今回の骨太の方針や成長戦略に、経済や医療の安全保障、大都市への人口集中、気候変動・大規模自然災害などコロナ禍を契機に顕在化した社会経済課題の解決を目指しつつ、同時に、成長による経済力強化のための幅広い政策が盛り込まれた。社会課題の解決と経済成長を車の両輪とする姿勢を明確に打ち出したものとして高く評価する。ぜひともスピード感を持って着実に実行していただきたい。

世界各国で取り組みが加速しているグリーン化やデジタル化は、わが国においても成長の原動力として強力に推進すべきである。その際、カーボンニュートラルの実現には、非連続的なイノベーションの創出が不可欠であり、政府には、民間の取り組みを力強く促す積極的な支援を求めたい。また、増大する電力需要を賄うためには、原子力の活用が不可欠であり、安全性最優先の再稼働・新増設・リプレース、および技術開発や人材育成に取り組まれたい。

他方、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援や、「転職なき移住」など地方への人の流れを生み出す方策、来るべき観光の復活に向けた供給力の確保、農林水産業のスマート化・成長産業化などによる地域経済の底上げが成長の原動力と位置付けられたことは大変心強い。なお、中小企業・小規模事業者の円滑な事業再生が可能となるよう、私的整理などのガイドラインをできるだけ早期に策定していただきたい。

成長戦略実行計画の冒頭において、生産性向上の成果を賃金として分配し、需要拡大を通じた成長を図るとする「成長と分配の好循環」の道筋が明確に示されたことを高く評価する。その上で、最低賃金については、コロナ禍による厳しい経営環境が継続している足元の状況を踏まえ、今年も現行水準が維持されることを強く望む。これから開催される中央および地方の審議会において、客観的なデータに基づく、慎重かつ公正な検討がなされることを期待する。

財政健全化を目指す取り組みは不可欠であるが、コロナ対策として必要な財政出動とワイズスペンディングの徹底を前提とした、より現実的な目標設定を検討すべきである。 (6月18日)