パラリンピックのチカラ File 25 北京で最高の滑りを!~今の自分に成せることを追い求めて

岡本 圭司 (おかもと・けいじ)

1982年2月20日神戸市生まれ。障がいクラスはLL-2。2021年4月、イタリア・ワールド杯2位。牛乳石鹸共進社所属

第7回全国障がい者スノーボード選手権&サポーターズカップ(2021年3月/長野県白馬)でスノーボードクロスのレースを滑走中の岡本圭司選手 撮影:吉村もと

巧みなボード操作に根差した躍動感やスピード感が魅力のスノーボード。パラリンピックでは2018年平昌冬季大会から正式競技となり、スノーボードクロスとバンクドスラロームの2種目が実施されている。

2022年北京大会に向け、日本でも強化が進む中、活躍が期待される一人が岡本圭司選手だ。パラでの競技歴は浅いが、スノーボードクロスを得意とし世界の頂点を狙う。

スノーボードは20歳で始め、持ち前のセンスと努力ですぐに頭角を現した。10年頃からスロープスタイルで世界上位の活躍を見せ、プロライダーとして国際大会や撮影で世界中を精力的に転戦していた。

だが、15年2月、撮影中の事故で脊髄を損傷し、下肢に障がいを負う。懸命なリハビリで自立歩行できるまでに戻ったが、左脚に軽いまひが残り、右脚はほぼ動かない。それでも、スノーボードに復帰。だが、以前のようには滑れず、落胆した。

挑戦欲が戻ったのは18年2月。気軽な気持ちで障がい者の大会に参加し、初めてスノーボードクロスのレースを体験。「過去の自分のイメージがゼロで、イチからのスタートというか、上達することの楽しみを思い出した。これもスノボだと思えた」

同年夏には才能を見いだされ、日本障害者スキー連盟の強化指定選手にも選ばれると、競技者として本格的に再始動。今年3月の国内大会で準優勝した際には新たな挑戦への思いと意気込みを口にした。「ケガをしてから、(雪上に)立てているだけで幸せ。皆と一緒に競い合えることがうれしいし、スノボができることの幸せをかみしめながら、自分のスタイルで北京(パラ)までやっていきたい」

翌4月、イタリアのワールドカップで初めて表彰台に上り、世界ランクを上げた。7月には北京パラ代表選考条件を満たし、自ら代表推薦内定もつかみとった。

「プロスノーボーダーとしての活動中に障がいを負い、それから6年間ずっと言葉にできない悩みと戦い続けてきた。〝この体だから表現できること、今の自分だから成せること〟が、もがく中で少しずつ見えてきて、その先に進むためにも北京で最高の滑りをしたい」

決意も新たに、ただ、突き進む。

スノーボード

起伏のある雪面を疾走! 巧みなボード操作や圧倒的なスピード感が魅力

腕や脚の障がいに応じてルールが一部変更されている。クラスは上肢障害(SB-UL)と下肢障害(SB-LL1、SB-LL2)に分かれ、男女別に競う。種目は二つで、「スノーボードクロス」はキッカーやジャンプなど多様な障がい物で構成されたコースで速さを競い、「バンクドスラローム」は連続するバンク(カーブ)上に立てられた旗門を通過しながら滑走し、タイムを競う。

日本パラリンピック委員会競技紹介ページはコチラ

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/
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