パラリンピックのチカラ File 26 右肩上がりの成長曲線を描く若きエース 2度目の大舞台で世界の頂点へ!

川除 大輝 (かわよけ・たいき)

2001年2月21日富山県生まれ。障がいクラスはLW5/7。日本大学スキー部、日立ソリューションズJrスキークラブ所属

2021ワールドパラノルディックスキージャパンカップ札幌大会での川除選手。力強い滑走で、二冠に輝いた

雪原の移動手段から始まって競技化したクロスカントリースキー。「雪上のマラソン」とも呼ばれ、雪原に設営された高低差のあるコースを専用のスキーとストックで滑走し、タイムを競う。コース状況に応じたスキー技術で自己の限界に挑み、ゴール後に倒れ込むほどの激しさも見どころだ。

川除大輝選手は若きエースとして、北京冬季パラリンピックで活躍が期待されるスキーヤーだ。生まれつき手足の指の一部がなく、ストックは持たず、両腕を大きく振って滑走する。身長161㎝と小柄だが、鍛え抜いた脚力とスキー操作技術で、世界の猛者たちと勝負する。

6歳のときに地域のスポーツクラブでクロスカントリースキーと出合い、楽しさに目覚めた。アルペンスキーと違い、斜面を登ることもある。体力的には苦しいが、その分、結果が出たときの達成感は格別だった。

世界への扉が開いたのは2015年。北海道で開かれたワールドカップにオープン参加し、世界のトップ選手の滑りに刺激を受け、スイッチが入った。

日本代表の強化指定選手にも選ばれ、代表合宿に参加し、高校のスキー部で、より専門的な練習に取り組むようになった。夏はローラースキー(前後に車輪が付いた約50㎝のスキーに似た板で、道路なども滑走可)でバランス感覚や滑走イメージを養い、冬は国内外の大会で実戦経験を積む。実力は着実に伸びていった。

高校2年生だった18年には、平昌冬季パラリンピックに初出場。個人2種目では惜しくも入賞を逃したが、4人(男女混合・障がい別)で組むリレーでは日本チームのアンカーとして4位入賞に貢献した。19年には世界選手権で初優勝も果たした。

その春、名門の日本大学スキー部に入部し、さらなる強化を図っていたが、2年目の20年春にコロナ禍で休校となり帰省した。強い意志でオンライン授業と自主練習を両立させ、21年2月の国内大会では優勝するなど順調な調整ぶりを示した。

今年7月には条件を満たし、北京パラの代表推薦内定選手に選ばれ、思いを新たにした。「前回の平昌大会よりも良い結果を出し、日本チームに貢献できるよう、これからのトレーニングにより一層励んでいきます」

クロスカントリースキー

別名は「雪上のマラソン」。高度なスキー技術と限界に挑む姿が見どころ

登りや急斜面、カーブなど自然の地形も利用したコースを走り抜く持久力とスキー技術が要求される。障がい別に立位、座位、視覚障がいの3カテゴリーに分かれ、さらに障がいの程度により細かくクラス分けされる。スキーの走法(クラシカル走法、フリー走法)と距離(スプリント、ミドル、ロング)の組み合わせで種目は多い。チームで競うリレー種目もある。

日本パラリンピック委員会競技紹介ページはコチラ

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/
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