パラリンピックのチカラ File 27 勝負強さとパワー―持ち味の異なる ペアで世界に挑む!

和智浩・村松由里ペア

わち・ひろし:1965年7月23日山梨県生まれ、チーム長野所属

むらまつ・ゆり:1968年10月1日山梨県生まれ、チーム山梨所属

2021年10月、長野県で強化合宿中の和智浩選手(右)と村松由里選手 写真提供:日本車いすカーリング協会

カーリングは「氷上のチェス」とも呼ばれ、重いストーン(石)を滑らせるように投げ、円の中心により近づけたチームが勝つ、高度な技術と戦略を要する冬の人気競技だ。

パラリンピックでは車いすで行う4人制のカーリングが2006年大会から正式競技となり、26年大会からは男女ペアのミックスダブルスも新種目として加わる予定だ。4人制より投球数が少ないため展開も早く、一発逆転も多い。

この新種目で世界に挑もうと練習に励むのが、和智浩選手と村松由里選手のペアだ。和智は仕事中の事故で車いす生活になり、05年に知人の紹介でカーリングと出合った。18年の世界選手権(4人制)に出場経験もある。研究熱心で、「ここぞ」という場面でのひらめきと集中力が武器の司令塔だ。

村松は交通事故により車いすユーザーになったが、以前から水泳などスポーツ好きだった。他競技の体験会に参加した際、和智にスカウトされ、15年からカーリングを始めた。最初は難しさを感じたが、持ち前の運動センスと豊富な練習でめきめきと実力をつけ、2年前に日本代表に選出された。スピードのあるパワーショットが持ち味だ。

ペアを組んでからまだ日が浅いが、「村松さんは明るくポジティブ。力強い投球で、戦略を実行してくれる」と和智。一方、村松は、「経験豊富な和智さんは、決めてほしい場面で決めてくれる」。互いの強みに絶対の信頼を寄せ、絆を深めている。

直近の目標は来年4月のミックスダブルス世界選手権での初代王者だ。新種目だけに他国の情報がほぼない今は、自己スキルとチームワークの向上に集中する。個人ではそれぞれの練習拠点で個々に投げ込み、投球フォームの改良など、それぞれの課題に取り組む。「もっと精度を高めたい」(和智)。「練習で120%出し、試合で100%を目指したい」(村松)。

月1回の合宿ではコンビネーションを磨く。コミュニケーションを大切にし、1投ごとに二人で考え、話し合う。「それぞれの良さも悪さも出し合い、理解し合うことが大事」と声をそろえる。持ち味の異なる二人の挑戦はこの先、どんな化学反応を見せるのだろうか。目が離せない。

車いすカーリング

緻密な戦略を高い技術で実行。大逆転も見どころの“氷上のチェス”

一般のカーリングのルールに準じるが、下肢障がいが対象で車いすでの競技に合わせ、投球は手かデリバリースティック(補助棒)で行い、スウィーピングもしないなどルールの一部が変更されている。4人制(男女混成)は全8エンド(1エンド1チーム8投)で競う。ミックスダブルスは全8エンド(同5投)で競い、プレーエリア内にあらかじめ二つの石を配置するなど独特のルールがある。

日本パラリンピック委員会競技紹介ページはコチラ

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/
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