パラリンピックのチカラ File 24 灼熱のトラックから白銀のゲレンデへ 「夏冬二刀流」でさらなる高みを!

村岡 桃佳 (むらおか・ももか)

1997年3月3日埼玉県生まれ。障がいクラスはアルペンスキーがLW10-2(座位)、陸上競技はT54(車いす)。トヨタ自動車所属

2021WPASアジアカップ菅平高原シリーズ(長野県)で、雪面をチェアスキーでアグレッシブに攻める村岡桃佳選手 撮影:吉村もと

東京パラリンピックが閉幕したばかりだが、コロナ禍の影響で半年後の2022年3月には冬季の北京大会が開幕する。同大会で3度目の冬季大会出場を狙うのが、アルペンスキー(座位)の村岡桃佳選手だ。

18年平昌冬季大会で5種目全てに出場し、金一つを含むメダル5個を獲得、「冬の女王」の異名を取った。さらに今夏には、1年延期された東京大会に陸上競技で初出場し、「夏冬二刀流」の偉業を達成したマルチアスリートでもある。

4歳で発症した横断性髄膜炎の影響で下半身がまひし、車いす生活となったが、家族の励ましもあり、さまざまな車いす競技に挑戦。特に陸上競技の疾走感に魅せられ、「パラリンピック出場」の夢を抱いた。

1本のスキー板に座席が付いた、チェアスキーで滑るアルペンスキーには小学3年生で出合った。中学2年から競技として取り組むと、17歳で14年ソチ大会に初出場し、大回転で5位入賞。4年後の平昌大会で「冬の女王」にまで上り詰めた。

挑戦意欲はとどまらない。19年5月には原点でもある車いす陸上に再挑戦。「レーサー」と呼ばれる競技用車いすを自身の腕でこいで走らせる陸上は、斜面を滑り降りるスキーとは異なる筋力を必要としたが、風を切る心地良さは同じだ。持ち前のセンスと負けん気で、練習開始後わずか2カ月で、100m(車いすT54女子)の日本新記録(当時)を樹立。自国開催の東京パラ出場が確固とした目標になった。

順調に実力を伸ばしたが、二刀流への挑戦には想定外の壁が立ちはだかる。東京パラの1年延期に伴って、20年末から21年春にかけて両競技の代表選考が並行し、陸上とスキーの大会を短期間で行き来することとなった。心身ともに追い込まれたが、「やると決めたからには、諦めたくない」と突き進んだ。

初志貫徹で今夏、国立競技場のトラックをレーサーで駆け抜けた今はもう、心も体も雪山へと向かっている。想像以上にハードだった二刀流挑戦でフィジカルはよりたくましく、メンタルの強さにも磨きがかかった。定評ある巧みなスキー操作とスピード感あふれる「女王」の滑りのさらなる進化に期待が膨らむ。

アルペンスキー

冬の花形競技。急峻な雪面に挑む

華麗なスキー操作と圧巻のスピードが魅力

オリンピック同様、種目は滑降、スーパーG、大回転、回転、複合の五つ。障がいにより座位、立位、視覚障がいの3カテゴリー別に競う。さらに、障がいの程度に応じたクラスに分かれ、それぞれ係数が設定され、順位はその係数を滑走タイムに掛けた計算タイムで決まる。立位には片足やストックなしで滑る選手も。視覚障がい選手は前を滑るガイドが発する音声を頼りに滑る。

日本パラリンピック委員会競技紹介ページはコチラ

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/

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