最新の技術を用い軍・民を支えた電気事業
1894(明治27)年に勃発した日清戦争の際、広島県は軍港となる呉市などを抱える重要な軍事拠点となりました。すでに県内には民間の電力会社・広島電灯がありましたが、さらなる発展や軍備増強のためには安定した電力供給が必須であるとして、地元の豪商・松本清助が政府の勧めと栄一の支援を受けて97年に設立したのが、広島水力電気(現・中国電力)でした。
同年に黒瀬川上流で着工した呉市・広発電所は、地盤の固さや住民の反対などで難航しながらも99年に完成。中国地方初の水力発電所になりました。また広発電所から呉変電所までの9㎞と広島変電所までの26㎞を日本で初めて11kVの高圧長距離送電線でつないだことから、関係者のみならず電気を研究していた学者などからも強い関心を集めました。
その後、広発電所は黒瀬川の再開発に伴う二級ダム建設のため100m下流に移動。広島水力電気も、当初競合であった広島電灯と合併し、中国地方の電力を支え続けました。
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