政府、経済対策を閣議決定 事業規模は78・9兆円 GDP5・6%押し上げ 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(閣議決定)」概要 2021年11月19日

政府は11月19日、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定した。財政支出は55・7兆円で、民間資金も含めた事業規模は78・9兆円。経済対策の裏付けとなる2021年度の補正予算については、一般会計で31・9兆円を計上し、「『16カ月予算』の考え方により、22年度当初予算と一体的に編成し、切れ目なく万全の財政政策を実行する」との姿勢を明確に示した。

岸田首相は、同日の経済財政諮問会議で、「今回の新しい経済対策は、新型コロナ対策に万全を期し、コロナ禍で厳しい影響を受けた方々に寄り添って万全の支援を行うとともに、成長戦略と分配戦略により、新しい資本主義を起動していくものだ」と経済対策の意図を説明。「下振れリスクから経済を下支えし、押し上げる直接的な経済効果は、GDP(国内総生産)に換算して5・6%程度」との見込みを示し、「この経済対策を、スピード感を持って執行していくことで、経済を一日も早く成長軌道に乗せていく」との考えを述べた。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けては病床確保や自宅・宿泊療養者対策、ワクチン接種の促進、治療薬の確保対策など医療提供体制を強化し、売り上げ減少の事業者向けに最大250万円の支援金を計上。住民税非課税世帯に1世帯当たり10万円を給付し、困窮学生にも緊急給付金を支給する。

ウィズコロナ下での社会経済活動の再開に向けては、ワクチン接種証明の発行やGOTO事業の実施を後押し。ワクチン・治療薬の国内開発も支援する。

「新しい資本主義」の起動に向けた成長戦略では、科学技術立国の実現に向け、デジタル、グリーンなど先端科学技術の研究開発などを後押しするほか、クリーンエネルギーの投資促進やスタートアップ支援を強化。デジタル田園都市国家構想に沿って、地方におけるデジタル実装、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、農業・観光の振興や中小企業の事業再構築、生産性向上にも力を入れる。また、経済安全保障強化に向けた先端技術の実用化も支援する。

分配戦略では、賃上げ、労働移動への支援、多様な働き方を推進。賃上げを行う企業への税制支援を抜本的に強化する。

防災・減災、国土強靭(きょうじん)化では、「国土強靭化6カ年加速化対策」を推進するとともに、東京電力福島第一原発の廃炉・処理水対策を含め、自然災害からの復旧・復興を加速させる。

第1章 はじめに

◆わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、依然として厳しい状況。他方、新型コロナウイルス感染症については、新規感染者数は足元で減少しており、行動制限も段階的に緩和。

◆この機を捉え、本経済対策を契機として、ウィズコロナ下で、一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図る。「新しい資本主義」を起動し、成長と分配の好循環を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せる。

◆こうした成長に向けた機運を途切れさせないためにも、感染拡大の可能性に備えて、危機管理に万全を期すとともに、感染の再拡大や供給制約などによる景気下振れリスクに十分に注意し経済の底割れを防ぐ。

第2章 本経済対策のねらい(略)

第3章 取り組む施策

Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止

1.医療提供体制の確保など

◆医療提供体制の強化

公立公的病院の専用病床化、感染拡大時の確保病床8割以上の確実な稼働体制の構築、地域の医療機関などと連携した自宅・宿泊療養者に対する対策の徹底

◆ワクチン接種の促進、検査の環境整備、治療薬の確保

ワクチンの追加接種の無料実施、治療薬(中和抗体薬・経口薬)の確保・投与体制の構築

◆感染防止策の徹底

地方創生臨時交付金(都道府県などによる感染防止対策)、幼稚園・保育所、学校などの感染防止対策

2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援

◆事業者への支援

地域・業種を限定しない事業規模に応じた給付金(事業復活支援金)、実質無利子・無担保融資などの資金繰り支援延長、地方創生臨時交付金(時短など要請時の協力金など)

◆生活・暮らしへの支援

住民税非課税世帯(1世帯当たり10万円給付)や厳しい状況にある学生などお困りの方々への支援、雇用調整助成金などの特例措置延長、孤独・孤立で悩む方々への支援

◆エネルギー価格高騰対策

Ⅱ ウィズコロナ下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え

1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開

◆ワクチン・検査パッケージの活用

電子ワクチン接種証明の年内発行、予約不要・無料のPCR・抗原定性などの検査の実施

◆社会経済活動の再開

安全・安心を確保したGoToトラベルなどによる需要喚起、イベントの開催・キャンセル費用などへの支援

2.感染症有事対応の抜本的強化

◆ワクチン・治療薬などの国内開発

ワクチン・治療薬などの研究開発から実用化まで支援し生産、安定供給を確保できる体制を整備、緊急時にワクチン製造に転用可能なデュアルユース生産設備の整備支援

◆感染症の収束に向けた国際協力など

COVAXファシリティを通じた途上国への支援、アジア・大洋州地域におけるコロナ対策・社会経済活動再開支援、海外との往来の正常化

◆新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行

Ⅲ 未来を切り拓く「新しい資本主義」の挑戦

【成長戦略】

1.科学技術立国の実現

◆科学技術

10兆円規模の大学ファンドの年度内設置、若手研究者の人材育成、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、海洋分野など先端科学技術の研究開発

◆クリーンエネルギー

自動車の電動化推進、蓄電池・半導体の国内生産基盤の確保に向けた大規模投資促進、太陽光発電設備の整備支援などによる再生可能エネルギーの導入拡大

◆スタートアップ支援

イノベーション・エコシステムの機能強化、オープンイノベーション促進税制

2.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」

◆デジタル実装

ローカル5Gなどのデジタルインフラの整備、交付金の大規模展開によるテレワーク・ドローン宅配などデジタル実装の推進、デジタル推進委員の全国展開などデジタルデバイド対策

◆DXの推進

デジタル庁を司令塔として準公共分野(健康・医療・介護、教育など)のデータ利活用の推進、行政手続きのオンライン化、1人当たり最大2万円相当のマイナポイント付与

◆農業・観光・文化

農林水産業の輸出力・生産基盤強化、観光の高付加価値化、地域公共交通支援、文化芸術振興

◆中小企業

事業再構築・生産性向上支援、私的整理などガイドラインの整備などによる事業再生推進

3.経済安全保障

先端半導体の生産拠点の国内立地・先端的な重要技術の実用化を支援するための基金の造成

【分配戦略】~安心と成長を呼ぶ「人」への投資強化

1.民間部門における分配強化に向けた強力な支援

◆賃上げの推進

賃上げを行う企業への税制支援の抜本的強化、下請取引に対する監督体制の強化、最低賃金の引き上げに向けた事業者への助成の拡充

◆労働移動の円滑化・人材育成の強力な推進

3年間で4000億円の施策パッケージ、職業訓練と再就職支援の組み合わせによる労働移動やステップアップの支援、デジタル人材育成の強化などの実施、リカレント教育や職業訓練の拡充

◆働き方改革などによる多様な働き方の推進、多様な人材の活躍などの支援

テレワークの定着や兼業・副業の促進、女性や就職氷河期世代の支援、非正規雇用労働者の待遇改善

2.公的部門における分配機能の強化など

◆看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引き上げなど

公的価格の在り方の抜本的見直し、民間部門における賃上げ議論に先んじた措置の前倒し実施、医療・福祉人材の育成・確保の支援

◆「こども・子育て支援」の推進

新型コロナの影響が長期化する中で子育て世帯に対して子ども1人当たり10万円相当の給付、早期の待機児童解消を目指した保育の受け皿の整備、子育て世帯の住宅取得への支援

Ⅳ 防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保

1.防災・減災、国土強靱化の推進

「5か年加速化対策」などに基づく防災・減災、国土強靱化の強化

2.自然災害からの復旧・復興の加速

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・処理水対策、自然災害による被災者の生活・生業の再建および復旧・復興

3.国家の安全保障の確保を含む国民の安全・安心

自衛隊の変化する国際情勢への即応的な対応、戦略的海上保安体制の構築などの推進

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