こんなときどうする会社の法律Q&A 【今月のテーマ】60歳定年と65歳定年を選択させる定年制度について

Q 65歳定年に変更をしたときに、変更以前に入社していた者が60歳での退職を希望した場合、就業規則上でその旨を追加すれば定年退職と認められるのでしょうか。

A 法的には60歳定年(及び希望者全員65歳継続雇用制度等の導入)を下回らなければ、問題ありません。従って、貴社においても65歳定年としつつ、例えば65歳定年制度変更前に入社していた方については選択して60歳定年を適用することができる、と規定することは可能です。65歳定年導入前に入社した従業員について、60歳でいったん退職金が支給される場合は、60歳で退職金支給をされた場合も、退職金控除は適用されます。

選択定年制について

法的には60歳定年(及び希望者全員65歳継続雇用制度等の導入)を下回らなければ、就業規則変更前に入社していた方に60歳定年を選択させることも可能です。

退職金控除の適用

65歳定年導入前に入社した従業員について、国税庁の疑義照会にもあるように、60歳で退職金支給をされた場合も退職金控除は適用されます。当該疑義照会では、所得税基本通達30-2(5)を示し、引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その旧定年に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払いをすることにつき相当の理由があると認められるもので、その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、同通達30-1(退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう)にかかわらず、退職手当等とする旨回答されています。定年延長前に入社した従業員に対して旧定年のときに退職一時金を支給することについては、退職所得として取り扱うのが相当であると考えられます(以下、『 』内は国税庁の疑義照会より)。

『(1)当社は、就業規則を改定して定年を64歳に延長しますが、従業員の入社した時期にかかわらず、従業員が、旧定年である満60歳に達した日の属する年度末の翌月末までに本件退職一時金を支給することを予定しており、また、本件退職一時金を支給した後は、定年を延長した期間に対する退職金の支給はしませんので、本件退職一時金は、いわゆる打切支給の退職手当等であると考えられます。

(2)本件退職一時金は、旧定年である満60歳に達した日の属する年度末までを基礎として計算することとしていますので、本件退職一時金は「旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」であると考えられます。

(3)定年延長前に入社している従業員は、旧定年のときに本件退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長に伴い本件退職一時金の支給が64歳になると不都合が生じるため、旧定年のときに本件退職一時金を支給するように希望しています。また、賃金規則の改定前及び改定後においても、本件退職一時金の計算の基礎となるのは満60歳に達した日の属する年度末までであり、定年の延長にかかわらず本件退職一時金の金額は変わらないことになるため、本件退職一時金の支給を64歳に変更することは当該従業員にとって不利益な変更となります。このような不都合及び不利益は、雇用主として配慮する必要がありますので、定年延長前に入社している従業員に対し、旧定年のときに本件退職一時金を支給することについて「相当な理由」があると考えられます。(以下略)』

ただし、定年延長後に入社する従業員に対する旧定年のときの退職一時金を支給することについては、同通達は適用されず、退職所得として取り扱われるとの国税庁回答があるため、ご注意ください。 (社会保険労務士・吉川 直子)

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