基本的な考え方
・令和3年度補正予算に続き、令和4年度予算案を早期成立させ、スピード感を持って各種支援を実行すべき。
・感染拡大に対して、国を挙げて3回目のワクチン追加接種を推進するとともに、オミクロン株の特性に即した感染対策を適宜柔軟に進化させ、基本的な感染対策の徹底と併せて、社会経済活動を最大限止めずに回していく出口戦略が極めて重要である。
・過去2年間の知見を生かし、エビデンスに基づき、発令中の「まん延防止等重点措置」の早期解除と、今後、新たな変異株の出現による感染急拡大にも耐え得る、非常時にも柔軟に対処可能なレジリエントな体制整備に万全を期していただきたい。
Ⅰ オミクロン株の特性に即した感染対策の実施
1.感染抑制に向けた、国を挙げたワクチン追加接種の一層の加速化
・ワクチン追加接種の必要性と効果、交互接種の安全性、ワクチン供給スケジュールを分かりやすく情報発信し、国を挙げて早期接種を広く呼び掛け、追加接種の一層の加速化を図るべき。
・リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する者、エッセンシャルワーカーを優先した接種が急務。
・国産ワクチン開発と供給への支援を強化し、承認審査の迅速化、早期承認と実用化を図られたい。
2.医療ひっ迫防止のため、地域医療・診療体制整備や治療薬の安定供給などへの支援強化
・オミクロン株の特性に即し、病床は中等症・重症者、高齢者や基礎疾患を有する者に重点化し、原則、無症状者や軽症者は自宅や宿泊療養施設での療養を基本とする体制とすべき。
・オンライン診療を最大限活用できる環境を整備し、かかりつけ医などが初期段階の治療から必要に応じた入院対応や治療薬の早期投与が可能となる地域医療・診療体制整備への支援強化が必要。
・非常時の医療人材の広域的な確保など、医療提供体制のさらなる強化への財政的支援を講じるべき。
・治療薬の積極活用に向けて、治療薬の安定供給と医療機関や薬局への適切な配分による早期投与を可能とする環境整備が必要。新しい治療薬の早期承認と供給を急がれたい。
・有症状者が医療にアクセスしやすい発熱外来の設置支援の拡充と、無料検査場などの検査能力を最大限発揮するための、検査キットの増産・確保・供給体制の強化が急務。
3.社会経済活動維持に向けた、濃厚接触者の待機期間の短縮、各種制限の緩和など
(1) 濃厚接触者の待機期間の短縮
・エッセンシャルワーカーの「抗原検査などで陰性の場合、待機期間5日」を国民にも適用すべき。
・エビデンスに基づき、感染者の療養期間や退院基準もさらなる短縮・緩和を講じられたい。
(2) オミクロン株に即したワクチン・検査パッケージの活用と各種制限の規制緩和
・オミクロン株に即して、ワクチン・検査パッケージを進化・活用し、エビデンスに基づき、諸外国の感染対策を参考に、飲食、イベント、旅行などの各種制限を緩和すべき。
(3) 中小企業などの感染症BCP整備への支援の拡充
・中小企業の感染症BCPの策定・整備およびその実行に係る事業者支援を拡充されたい。
4.今後の変異株出現も見据えたコロナ対策に関する法整備
(1) 非常時対応強化に向けた、感染症法改正の検討
・次なる変異株にも備え、医療機関への重大感染症用病床の確保など、非常時における国や自治体の権限を強化する感染症法改正の議論は早急に進めるべき。
(2) 感染症法上の分類の見直し(5類相当の分類の中への新型コロナの特別措置の創設)
・病床確保やワクチン接種の推進、治療薬普及、医療提供体制の拡充などを前提に、エビデンスに基づき、新型コロナの感染症法上の分類見直しなどの議論を進めるべき。検査・医療費の公費負担など、新型コロナに特化した5類相当の分類の中に新たな特別措置を設けることなども検討されたい。
Ⅱ コロナ禍克服に向けた事業者への支援強化
1.困窮する事業者への迅速な支援(協力金・支援金、資金繰り支援など)
・特に困窮する中小企業への協力金・支援金の手続き簡素化などによる支給の迅速化を図るとともに、事業者の実情に合わせた最大限の資金繰り支援に万全を期されたい。
・時短に伴う飲食業への支援継続と影響の大きい宿泊業や取引事業者などへの事業継続支援の拡充が必要。雇用調整助成金の特例措置は、4月以降の延長を早期に決定されたい。
2.事業者の収益力改善などへの取り組み支援と環境整備
・コロナ禍からの再起を図る中小企業の収益力改善・再生・再チャレンジを推進。
・ビジネスモデル転換や生産性向上に資する事業再構築補助金・生産性革命推進事業のさらなる活用。
・創業スタートアップ・事業承継・M&Aなどに対する幅広い支援。
・中小企業の自己変革への挑戦を後押しする高度伴走型支援人材の育成・派遣などの支援体制の強化。
・「パートナーシップ構築宣言」のさらなる拡大と宣言内容の実行状況のフォローアップなど実効性向上に努めるとともに、「転嫁円滑化施策パッケージ」の実効性ある強力な推進が必要。
3.需要・消費喚起による売り上げ確保支援
・感染状況を踏まえて、オミクロン株の特性に即したワクチン・検査パッケージなどを活用したGoToトラベル事業の早期再開とインバウンド本格回復までの十分な事業期間確保が必要。
・GoToイート事業の拡充・事業期間延長、地方創生臨時交付金拡充による飲食店などの売り上げ確保支援の強化。
・自治体の域内需要喚起策の実施を後押しするため、地方創生臨時交付金の拡充とともに出張、商談会などの法人需要や関係人口拡大など、国内観光につながる人流の活性化対策も大胆に講じるべき。
Ⅲ ポストコロナを見据えた国際往来の回復
1.国家戦略としての水際対策の緩和
(1) 強度の高い水際対策のわが国の社会経済に与える影響(略)
(2) オミクロン株対応の水際対策緩和(略)
2.入国制限の国家戦略としての水際対策の緩和
(1) 外国人材の入国者数の拡大と入国措置の大幅な緩和
・足元では、入国者総数が1日3500人に制限されているが、昨年の国際往来再開時の5000人に戻すとともに、入国手続きや施設待機の簡素化・効率化などを図り、さらなる拡大を図られたい。
・わが国社会経済を支える留学生、特定技能外国人や高度技術者、技能実習生など外国人材に係る入国措置は、諸外国の水際対策を参考に大胆に緩和すべき。
(2) 入国者の待機期間の短縮
・諸外国の感染状況と出入国管理体制などを参考に、入国者の待機期間のさらなる短縮を講じるべき。
・ワクチン接種証明書を有する者に対しては、待機期間の免除などの措置が必要。
(3) 事業者の準備期間を考慮した早期の対策方針と手続きなどの発表
・入国制限の緩和を実施する場合、国内外の事業者の体制準備期間を考慮して、早期の対策方針の発表と入国手続きなどに係る情報提供の徹底を図られたい。
(4) 入国管理手続きなどの簡素化・迅速化
・円滑な入国管理や受け入れを実現するため、以下に掲げる手続きなどを簡素化されたい。
①所轄省庁ごとの手続きワンストップ化・相談窓口の一元化、電話相談窓口の拡充
②アプリなどによる申請全体のデジタル化
③FAQなど、利用者目線の分かりやすいタイムリーな情報提供
④申請書類の簡素化(陰性証明書・ワクチン証明書以外の書類省略、誓約書の簡素化)
⑤行動制限に係る活動計画書の簡素化とビジネスの状況に応じた柔軟な変更などの認可
⑥ワクチン接種証明書と陰性証明書による待機期間や公共交通機関の利用制限の撤廃
⑦受け入れ責任者の対応・行動管理の軽減(受入結果報告書の提出の省略)
(22年2月17日)
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