政府は12日、新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、スタートアップ支援強化に向けた具体策を提示した。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「スタートアップへの資金供給拡大の仕組み作り」などの必要性を指摘。岸田首相は、スタートアップの育成に向け、「官民の役割分担をした上で、5カ年計画を作成し、実行のための司令塔機能を明確化する」と述べ、6月の実行計画の決定に向けて、議論を加速していく考えを示した。
三村会頭は、「スタートアップ育成強化に向けた提言」として、「資金供給拡大の仕組み作り」「専門的アクターの育成支援」「大企業のオープンイノベーションの取り組みの後押し」の3点を指摘。資金供給について、官民ファンドの下支えに加え、GPIFなどから投資を促すことが重要との考えを示した。
また、海外大手VCに見られるようなマーケティング、製造、人事などの充実した支援機能の重要性を強調。オープンイノベーション促進に向けては、「税制優遇などのインセンティブ拡充と権利保護強化の両面の対策が重要」と述べた。地方創生の観点では、ユニコーンを目指すトップリーグと併せ、地域活性化の担い手となるスタートアップの育成強化を車の両輪として位置付けるべきとの考えを示した。
岸田首相は、スタートアップの育成に向け、資金調達の充実の必要性を指摘し、融資については「信用保証を受けている場合に、個人保証を不要とする見直しを図る」と明言。SBIR制度については「優れたアイデア・技術を持つ若い人材に対する支援策を抜本拡充する」と述べ、人材の流動化に向けては「副業・兼業を認める企業数を拡大する」との考えを表明した。
今後、政府は5カ年計画を策定。司令塔機能の明確化や各種施策を盛り込んだ実行計画を6月にも決定する。
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