異国情緒、夜景、五稜郭……多くの人が、函館からイメージされる言葉ではないでしょうか。大変光栄なことに函館市は、昨年の全国市区町村魅力度ランキングで2年連続2位となりました。函館の文化的資源は、当初から観光を意図してつくられたものではなく、さまざまな時代背景や困難がある中で、先人たちが守り抜き、そして意志を持って観光に活用し、現代の私たちに引き継いでくれたものです。私は「謙虚にして驕(おご)らず、さらに努力を」を座右の銘としており、常に先人の気概に感謝するとともに、いかに函館を訪れる人々の笑顔を増やせるか思いを巡らすことがライフワークになっています。
話は変わりますが、私は若い頃から趣味で洋蘭を育てており、これまで少しずつ買い集め、今では別棟の専用温室に、300株ほどに増えました。蘭は何年も育てて、やっと花を咲かせるものや、やっと咲いても数日で花を落とすものもあります。そのはかなさもいいですし、手を掛けた分だけ可憐な花を咲かせ応えてくれるところが、何ともいえない魅力です。
当地には昨年7月、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されるという明るいニュースが届けられました。きっと1万年以上続いた縄文時代を生きた人々は、現代の物であふれる社会を想像すらしなかったと思いますが、自然と折り合いをつけながら生活することで、豊かな精神文化を育み、その命を輝かせ、タイムカプセルとして私たちに受け継がせてくれました。函館市には、登録された17登録遺跡群のうち、「垣の島遺跡」と「大船遺跡」の2遺跡があります。、垣の島遺跡には、北海道唯一の国宝「中空土偶」のほか、亡くなった子どもの形見を残したと考えられる「足形付土版」などが常設展示されています。さらに今年、来場者に分かりやすく縄文文化を伝えるために、ARやVR機能を活用したデジタルコンテンツが整備されますので、ぜひ多くの人にご来場いただき、古代のロマンに思いを馳(は)せながら、新しい函館の光を感じてほしいと思います。
また、今年は日本商工会議所が創立100周年を迎えるということで、私たち全国515商工会議所の道標として記念すべき節目の年を迎えられたことに、心からお祝い申しあげます。長引くコロナ禍で人と人とが距離をとることが定着した今だからこそ、商工業の発展という同じ目的をもった同士が、意志を持って結ばれていることが重要です。日商が今後も全国商工会議所の意見の代表として信頼され、人と人の心をつなぐことで、日本の未来をつなぐ経済団体として一層飛躍することを心より願っております。
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