幸福度の高い人生をデザインする「2時間の働き方」
2hours 代表/株式会社ケイリーパートナーズ 代表取締役 鷲谷 恭子(わしや・きょうこ)
健やかな心と身体で働き続けるために
事業の原点は、病気で早くに母親を亡くしたことと、東日本大震災後、福島でのボランティアです。活動をしていくうちに、「健やかな心と身体で、調和の取れた働き方ができる社会をつくる」という自らのミッションが生まれました。震災によってキャリアが途切れてしまったと感じる女性の声に多く触れる中で「2時間で働こう」というキーメッセージにたどり着き、2019年5月に個人事業の2hoursを開業。同年10月には、想いを一つにする仲間とともに、株式会社ケイリーパートナーズを設立しました。
弊社は、地域企業に向けたアウトソーシングサービスを、ワークシェアリングで担います。役員を含め16人全員が女性、その多くが小学生以下の子どもを育てる母親たちで構成されます。一度仕事を手放した後のセカンドキャリア形成が難しい福島の現状に一石を投じるため、これまでのキャリアは「一切不問」、マルチタスクの日々でも踏み出せる「2時間」というスタートラインを設定しました。それぞれの「調和」を尊重しながら「信頼」でつながるチームづくりに尽力し、働くことを諦めない仕事のスタイルを確立させました。
先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代、変化するニーズに対応しながら、企業活動の社会性と経済性がシナジーを生み出せるビジネスモデルをしっかりとつくっていくつもりです。
社会性と経済性をトレードオフにしない
子育て中の私にとって、働く側のニーズはまさに自分事。労務などマネジメントには工夫が必要ながら、地域の労働参加を促すモデルケースになると確信を持って進めてきました。しかし、大きな苦労を伴ったのが顧客開拓です。「2時間で何ができるの?」「子連れで仕事ができる?」という疑問に対して、実例を積み重ねることで答えを示すしかありません。自由度の高い働き方と持続可能な事業成長がトレードオフにならないよう、弊社らしいサービスの開発と実践に試行錯誤する2年間でした。
弊社が手掛ける「データ化支援業務」「バックオフィス業務」などは、今まで内製していた業務を、「外付けの社内チーム」として支援するサービスです。これらを続けるうち、お客さまから「人財の悩みから解放されると同時に、業務改善・コスト削減に直結する」と評価してもらえるようになりました。
「2時間から働ける」仕組みづくりに対しては、アクティブシニア、育児中の男性をはじめ、多くの人から高い関心を寄せてもらっています。キャリアに関して生きづらいと感じているのは性別を超えて社会全体の課題。単に女性の立場を引き上げようとするのではなく、根強く残る偏見や呪縛を取り除き、多様な選択ができる社会になることで、自然と女性活躍の道にも光が射すはず。弊社の取り組みが、その機運を高める一つのきっかけになれたらうれしいです。
会社データ
社名:株式会社ケイリーパートナーズ
所在地:福島県郡山市緑町16-1
電話:024-922-1321
創業:2019年
事業概要:経理代行・バックオフィス支援・データ化作業・広報支援・オフィスファイリングほか
【郡山商工会議所】
※月刊石垣2022年5月号に掲載された記事です。
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