われわれは、ここ、えひめ・松山において、「地域の宝 磨いて興そう 観光聖地」をテーマに掲げ、全国商工会議所観光振興大会2022㏌えひめ松山を開催した。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済は急減速し、特に観光産業は大きな打撃を受けた。世界経済は現在、コロナ禍の克服に向けて動き出しており、観光需要もコロナ前の水準への早期回復が期待されている。一方、急速に進展したデジタル化や、ライフスタイルの変化による消費者のマインドシフトにより、観光は歴史的な転換期を迎えている。今こそ、私たちは、地域の再発見(ルネッサンス)に取り組み、観光の改革(イノベーション)を行うことにより、持続可能な観光を核として、地域を再生し、今後の発展につなげていかなければならない。
商工会議所は、地域の総合経済団体として、明確なビジョン、戦略、マーケティング、戦術の下、観光を核とした地域の再生の旗振り役を担うことが求められる。全国の商工会議所がこれに取り組む際の指針とするために、ここ、えひめ・松山において、以下のアピールを行う。
1.観光の高付加価値化につながるビジョンの策定
観光振興のビジョンを明確にし、地域として向かうべき方向性を示すとともに、地域内のステークホルダーと共有し、行動を起こす。ブランディング~地域資源の磨き上げとマーケティング~観光聖地化により、観光ビジネスモデルをイノベーションして高付加価値化を図り、持続可能な観光の実現、産業全体の活性化、地域の再生につなげる。
2.地域資源の発掘・磨き上げと地域内連携による付加価値の創造
ブランディング~有形、無形の地域資源の発掘・磨き上げを行い、誘客につながる価値の創造に取り組む。これまで認識されてこなかった資源を発掘し、魅力的な観光コンテンツに磨き上げていくためには、地域の歴史や特徴を尊重するとともに、インバウンド観光客などの外部視点の活用が重要である。また、観光関連事業者と非観光関連事業者が連携することにより、地域資源である食・歴史・文化などを経験・体験価値化し、高付加価値化と高価格化を実現する。
3.新たな需要を創造するためのマーケティングの推進
新たな需要創造に向け、デジタル技術を活用し、地域が一体となったマーケティング~観光聖地化を推進する。その際、観光地域づくりのかじ取り役を担うDMO(観光地域づくり法人)とも連携しながら、ターゲットの明確化やデータ活用によるリピーター戦略に取り組むことで新たな需要を創造・開発する。
4.ニューツーリズムの推進による地域経済への好循環と人づくり
地域の歴史や風土に根差した資源を活用するガストロノミーツーリズムなど、ニューツーリズムを推進することで、域内他産業への波及や、ECなどによる旅行後のリピート需要確保へつなげ、地域経済の好循環を図る。こうした取り組みを推進するためには能力、意欲の高いリーダーやスタッフが必要であり、人材の確保・育成に取り組む。(2022年6月2日)
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