経済産業省は6月8日、第3回「健康・医療新産業協議会」(議長・永井良三自治医科大学学長)をハイブリッド形式で開催した。協議会は、健康長寿社会の形成に資する新産業の創出に向けて、官民一体で具体的な取り組みの検討を行うために2020年に設置したもの。日本商工会議所の三村明夫会頭が構成員として参画している。
今回の会合では、未来の健康づくりに向けた取り組みに関連して、スマートウオッチをはじめとするウエアラブル端末などデジタル技術を活用して、個人が「医療機関」「職場」「地域」と連携する仕組みづくりの必要性などについて経産省が提起。その課題と対応策、個人の健康意識を高めるために必要な取り組みなどについて意見交換が行われた。
会合に出席した三村会頭は、健康データの活用によるヘルスケア産業の振興に関連して、「さまざまなデータを健康管理に結び付けることを可能とする医療DX推進が必要」と述べるとともに、現状については、健康データの共有・活用に向けた標準化が不十分との考えを表明。「国民全体の健康・医療データを統合して活用する基盤としての、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の早期構築が求められる」と強調した。
また、全体の医療費抑制の面から「予防・健康づくりを後押しする施策が重要」と指摘。「そのためのインセンティブ制度や、公的支援の在り方なども検討する必要がある」と述べた。
健康経営の取り組み促進については、「前向きに取り組む企業が増えてはいるが、健康経営の優良認定を受けた中小企業は1万2千社程度で、まだ緒についたばかり」との見方を表明。「企業側の関心をさらに高めるため、健康経営がメリットのある取り組みであることを示すことが有効」と述べた。
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