独立行政法人情報処理推進機構(IPA)はこのほど、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状や実態の把握を目的として作成した「DX推進指標自己診断結果分析レポート(2021年版)」を公開した。
同レポートは、経済産業省が作成した「DX推進指標」(DX推進のための経営の仕組みやITシステムの構築に関する35項目の定性指標。成熟度を0から5の6段階で評価)を用いて企業が自己診断した結果を収集し、分析した結果をまとめたもの。分析対象となった自己診断結果は21年1月から12月までに提出された486件で、企業全体の傾向をはじめ、企業規模別、先行企業(DX推進指標の現在値の平均が3以上の企業。全社戦略に基づき部門横断的にDXを推進できるレベル)、DX認定制度による認定企業、複数年連続で提出している企業の特徴などについて分析するとともに、レポートを公開開始した19年からの経年変化を分析した。
レポートによると、全企業における成熟度の平均値は1・95で、20年の1・60から0・35ポイント向上。成熟度の平均値が3以上の「先行企業」は486社中86社で、全体の17・7%を占め、昨年の8・5%から2倍、19年の4・4%から4倍となっている。一方、レベル3未満の企業は400社あり、全体の8割以上となっている。
35項目の指標ごとに全企業の平均値を比較すると、1位は「プライバシー、データセキュリティ」で、他の項目よりも優先的に取り組まれている一方、下位は「人材育成・確保」「事業部門における人材」「技術を支える人材」などで、人材育成に関してまだ戦略を立てられていない企業が比較的多いと分析している。
また、各指標の平均値を経年で比較すると、全35の指標で成熟度レベルは毎年上昇。20年と21年の間には全ての指標で有意差が見られ、20年から21年にかけてDXの成熟度は平均的に見ると加速してきていると指摘している。
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