会食の印象を左右
(仕事の)会食の機会が増えてきました。会食とは飲食を共にして、その場にいる人たち同士が親睦を深めたり、信頼関係を築いたりするために行います。接待と呼ばれるくらいのもてなしではないものの、主催者は気配りが求められる機会。もちろん会食相手との関係性にもよりますが、ホストは基本的には和やかに楽しく食事をしつつ、支払いまで行います。
その後、よく行われるのが手土産の交換。会食に参加いただいた感謝の意味を込めて手渡しします。持ち帰って開封したときに会食の印象は変わります。できれば「さすがです」と喜ばれる商品を選びたいもの。簡単そうで、真面目に考えると、手土産選びは大変です。
長年、管理部門に勤務していた知人が営業部門に異動。取引先と会食の機会が頻繁にあるそうですが、手土産の準備で頭を痛めることが多いと話をしてくれました。ちなみに手土産の相場は2000~3000円ほどで、スイーツなど食品が一般的。会食の前に百貨店の食品売り場を歩いて手土産探しをしたものの、いい商品が見つからない。妥協して買った手土産に後悔したことは何回もあります。
手土産開発にビジネスチャンス
「さすがです」と感じていただく手土産選びはどうしたらいいのでしょうか?
手土産の手配に関わる専門家といえば秘書かもしれません。ちょうど、数百人の現役秘書の厳正かつ公平なる審査でおすすめを紹介している「接待の手土産」というサイトを見つけました。手土産選びは、ビジネスを成功につなげる重要な活動と考えて、秘書の視点からおすすめを紹介することにしたようです。
では、どのような基準でおすすめを選んでいるのか?
高級感、デザイン性、実用性、特別感の観点から評価が高いこと。その上で、価格も高過ぎず、安過ぎず、予算内で収まることが必要。こうした観点から秘書の方々に採点していただき、特選・入選商品が紹介されています。
私は特選手土産として高い評価を得ている京都のあんこ屋さんが新たに開発した羊羹(ようかん)に注目しました。昭和25年創業のあんこ屋さんが、あっさりとした浅練りの羊羹に、無花果(イチジク)、あんず、くるみを加えた、コーヒーとの相性を追求したコーヒーのための羊羹を開発。浅煎(い)りのフルーティーなコーヒーとのペアリングがおすすめとのこと。自宅で開封したときにさすがと感じること間違いないでしょう。
ただ、この羊羹のように高い評価を得ている手土産がたくさんあるわけではありません。新たな商品を開発すれば、ビジネスチャンスになりそうです。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
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