政府はこのほど、過労死等防止対策推進法に基づく過労の実態などについての年次報告書、「2022年版過労死等防止対策白書」(2021年度わが国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況)を閣議決定した。
白書は、「労働時間やメンタルヘルス対策などの状況」「過労死などの状況」「過労死などをめぐる調査・分析結果」「過労死などの防止のための対策の実施状況」の4章で構成。労災支給決定(認定)事案の分析によると、男女別の発症要因について、男性は「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事」(24・8%)が2割を超え、女性は「悲惨な事故や災害体験」(22・0%)、「セクハラ」(21・9%)などの回答が多い結果となっている。
また、建設業とIT産業について実施した時間外労働が生じる理由についてのヒアリング調査結果を見ると、建設業では「繁閑の差が大きい」(48・2%)が最多。次いで、「人員不足」(41・9%)、「仕事の特性上、長時間労働が必要な仕事がある」(38・0%)の順で多く、IT産業では、「業務量が多い」(55・7%)、「繁閑の差が大きい」(48・6%)、「顧客からの不規則な要望への対応」(48・6%)といった回答が多い結果となった。外部要因に関しては、建設業では「無理のある納期」「無理な業務依頼」、IT産業からは「無理のある納期」「顧客やクライアントからのクレーム」「急な仕様変更」などの経験頻度が高い結果となっている。
白書では、企業における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策などの取り組み事例をコラムとして紹介。厚労省など労働行政機関における対策や関連施策の実施状況についても公表し、活用を呼び掛けている。
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