政府の有識者会議「全世代型社会保障構築会議」はこのほど、同会議の論点整理(各分野の改革の方向性)を取りまとめ、全世代型社会保障構築本部(本部長・岸田文雄首相)に提出した。論点整理では、「子ども・子育て支援の充実」「働き方に中立的な社会保障制度などの構築」「医療・介護制度の改革」「地域共生社会づくり(住まいの確保など)」の四つの分野の検討課題を提示。改革の方向性を示した。
「子ども・子育て支援の充実」に向けては、妊娠・出産・子育てを通じた切れ目ない包括的支援の早期構築という基本的方向を示すとともに、「全ての妊産婦・子育て世帯支援」「仕事と子育ての両立支援」に向けて検討すべき課題として、出産育児一時金の大幅な増額と出産費用の見える化、子育て期における長時間労働の是正、子育て希望者が時短勤務を選択しやすくする給付の創設などが盛り込まれた。
「働き方に中立的な社会保障制度などの構築」に向けては、非正規雇用労働者の処遇改善や正規化、希望すれば誰もが主体的に成長分野などの企業へ円滑に転職できる環境整備などの基本的方向を提示した。具体的には、勤労者皆保険の実現、非正規雇用者を取り巻く課題解決、労働移動円滑化に向けた課題を提示。「医療・介護制度の改革」については、医療保険制度、医療提供体制、医療分野におけるDX、介護保険の4項目について、それぞれ検討課題を示し、医療保険制度については、特に2025年までに後期高齢者割合が急激に高まることを踏まえ、現役世代の負担上昇抑制を図りつつ、全ての世代で医療費を公平に支え合う仕組みを強化する方向を示した。
「地域共生社会づくり」に関しては、独居高齢者などの問題に触れ、「住まい」の確保策を積極的に推進する考えを提示。さまざまな分野の関係機関などが連携した総合的な窓口・相談体制の構築などを検討課題とした。
全世代型社会保障構築本部会合の会合に出席した岸田首相は、各分野の改革のうち、特に、子ども・子育て支援の充実について、「必要な子ども政策を体系的に取りまとめ、来年度の骨太の方針には、子ども予算の倍増を目指していくための道筋を示す」との考えを表明。医療・介護制度の改革については、「今後3年間で団塊の世代が後期高齢者となる中で、全ての世代で医療・介護費を公平に支え合う仕組みを強化すると同時に、国民目線で医療・介護提供体制の在り方を見直し、サービスの質の向上を図っていく必要がある」と述べ、全世代型社会保障構築会議に年末までに報告書を取りまめるよう要請した。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/index.htmlを参照。
最新号を紙面で読める!