宇部市は2021年11月に市制施行100周年を迎えました。1921(大正10)年宇部村から一躍市制を施行した全国的にも珍しい市です。宇部商工会議所の前身の宇部実業会での議論が、市制施行への機運醸成の発端であったとの記録があります。明治・大正期に石炭産業の発展による富を、当所の初代会頭である渡邊祐策(わたなべすけさく)をはじめとする経済界の先人たちは、「共存同栄 協同一致」を宇部の精神(こころ)として、宇部銀行創設や軽便鉄道開通、電気会社設立、徒弟学校や幼稚園・小学校の開設、同仁病院の開院などの社会資本整備に充て、現在の宇部市の都市基盤を創造しました。また、石炭資源がいつか枯渇することを危惧し「有限の鉱業から無限の工業へ」の理念の下、化学工業へと基軸を移し、宇部市産業の礎を築き上げるとともに西日本屈指の工業都市に成長させ、現在に至ります。
しかし、産業の発展は一方で公害問題を引き起こしましたが、後に「宇部方式」といわれる産学官民連携による公害環境対策の取り組みにより困難を克服しました。その過程で「花いっぱい運動」や野外彫刻展が始まり、世界的にも認知される「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」として継続し、今秋に第29回が開催されました。これらの功績は国連環境計画から「グローバル500賞」を贈られるなど、宇部市の宝であり他都市に誇れるものになっています。
私が顧問を務めますUBE株式会社は、渡邊祐策らが1897年に創業した宇部式匿名組合「沖の山炭鉱組合」を起源とする(旧)宇部興産株式会社です。2022年4月に社名変更し、複合企業から化学事業持株会社として再スタートしました。目まぐるしく変わる事業環境に応じ人類共通の課題となった地球環境問題の解決を図りながら、人々の生命と健康、未来へとつながる豊かな社会に貢献するスペシャリティ化学の会社を目指しています。
私の趣味はゴルフ、卓球、ジム通いです。いつまでも健康で地域発展に貢献していきたいと思っております。同時に、現在の延長線上には未来はないため、さまざまな仕事や機会を捉えて地域活性化に不可欠な「人づくり」を進めたいと考えております。私自身は悪いことが起こっても前向きに考えられる性格なので、あらゆることを積極的に進めていくつもりです。
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