にぎわい復活も運営厳しく
全国各地の郊外にあるショッピングモールも人のにぎわいが戻ってきているように見えます。
ただ、運営する企業に話を聞くと、浮かれた話は出てきません。コロナ前ににぎわいが戻ったわけではない、今後も完全に戻る見込みはない…と、大変厳しい表情でのコメントばかりです。
駅前ではなく中心市街地から離れた郊外立地型のショッピングモール。地価が高い中心市街地への出店に比べて、郊外では割安で広大な土地が確保可能です。さらに2000年の大規模小売店舗立地法成立以降に急激に増加。地域の生活インフラであり、新たな雇用・事業も生み出してきました。
そんなショッピングモールに、明るい未来はないのでしょうか?
アクティビティの導入が活路に
米国に目を向けたら、活路が少し見えてきました。新たな取り組みを行い、にぎわいが大幅に回復したり、来場者の単価が向上したり。経営状態が大きく反転しているケースがいくつもありました。どうして反転したのでしょうか?
二つほど、注目すべき改善が行われているようです。一つ目はテナントの入れ替えタイミングの変更。長期の賃貸契約は結ばず、中核となるテナント以外は短期間に入れ替えを実施します。知らない、行ったことがない店舗が続々登場することで来場意欲を高める機会につながり、売り上げ増加に大きく寄与しつつあるそうです。ただ、これ以上に重要な二つ目が、新たな来場理由につながるコンテンツを追加すること。これまでモールへの来場理由の大半は買い物でした。そこにシミュレーションゲーム、イベントなどアクティビティと呼ばれる分野の施設を設置。買い物以外の目的でも来場する人を増やす努力に取り組んだのです。
あるロサンゼルスのモールでは、ジップラインと呼ばれるワイヤーロープにベルトとハーネスを装着して滑車を使って滑り降りるアウトドアアクティビティなどを開業。オープン後に来場者の滞在時間が4割近く上昇しました。単価向上にもつながっています。
同地区の別のモールでは、地元TVの人気番組の出場者たちと同じような体験が楽しめる障害物ゲームの施設を開業。すると翌月の来場者はコロナ拡大以前と比べても2割まで増加しました。これからのショッピングモールの在り方の参考となる成功例かもしれません。
日本でも酒々井プレミアム・アウトレットが遊覧ヘリによるクルージングを開始。御殿場プレミアム・アウトレットが打ち上げ花火を開催するなど、体験価値の高いコンテンツの追加に取り組み始めました。各地モールの変化と成長に注目していきましょう。
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